ファシズムの誕生:ムッソリーニのローマ進軍(つづき)

この本を読み始めているのですが、いろいろびっくりすることがあります。ファッショの由来についての以下の記述にもびっくりしました。

「ファッショ」とは結合とか集合を意味する普通名詞で、これを政治組織の呼称に用いるのは別にムッソリーニの独創ではない。今日の日本の語感で言えば、「何々をする集い」とか「何々のための市民連合」といった感じに近いだろう。これが党となるのはもっと先のことであり、これを古代ローマの権標(ファスケース)と結び付けて箔をつけるのはさらにもっと先の話である。

普通は、ファシズムの語源は古代ローマのファスケースから来ている、と、十中八九はそう説明されるのですが、それは間違いだということです。こういう綿密な調査を経て書かれた本は貴重です。


この本は1922年10月のローマ進軍までの出来事を扱っています。それ以降の話は出てきません。今回は「5.総選挙・1919年」まで読みました。イタリアが第一次大戦で英仏側に立って参戦する事情から、戦後も戦争によって疲弊した経済の状況、左翼陣営の幼稚さ、政府の無能、ガブリエーレ・ダヌンツィオという軍国的詩人によるフィウメ占領、唯一老獪な政治家であるジョリッティ。若きグラムシ・・・・