10.1.導入(1):Quantitative System Performance

9.9.演習」の続きです。(目次はこちら

10.1. 導入


 プロセッサと主メモリの技術は近年迅速に進歩してきた。I/Oサブシステムの設計においては比較できるような進歩は起こらなかった。その結果、I/Oサブシステムはコンピュータ・システム性能においてますます重要な役割を演じつつある。ディスクI/Oサイブシステムの待ち行列ネットワーク・モデルは、この章の主題である。
 待ち行列ネットワーク・モデルを含むどんなスタディにおいても、解析者はどのシステム・デバイスがモデル内でサービス・センターとして表されるべきかと、これらのセンターでのサービス要求時間はいくかであるかを決定することから始めなければならない。入力としてこれらのパラメータを用いて、パートIIで説明した計算アルゴリズムはリソース接続の影響を計算するためにリトルの法則を用い、稼動率やスループットや滞在時間や待ち行列長といった性能尺度をもたらす。システムや作業負荷に対する想定されるほとんどの修正はモデル内ではサービス要求時間の修整として表現される。
 我々がこの本の中でずっと用いてきた「正統な」待ち行列ネットワーク・モデルはCPUと個々のディスク装置を表すサービス・センターから成る。そのようなモデルは、図10.1に示す現代のI/Oサブシステム構成の非常に抽象的な表現である。このサブシステムの構造上の複雑さはコストと性能の間の困難な妥協から来ている。ひとつの極端として、完全に独立な仕方でデータを転送するために個々のディスクに充分なインテリジェンスを与えることは(よい性能をもたらすだろうが)高いコストをもたらすだろう。明白な方法は、CPUとディスクの間のパス(道)の上にさまざまなインテリジェンスを持つ若干の共用デバイス(チャネルやコントローラやストリング・ヘッド、など)を導入することである。

  • 図10.1 現代のIBM I/Oサブシステム


10.1.導入(2)」に続きます。