10.3.RPS I/Oサブシステムにおけるチャネル競合(2):Quantitative System Performance

10.3.RPS I/Oサブシステムにおけるチャネル競合(1)」の続きです。(目次はこちら

これらの稼動率はモデルが一旦評価された時のみ分かるので、我々はアルゴリズム10.2に示すような繰返し形式を採用する。

  • 1.
    • I/Oサブシステムがディスクによってのみ表されるようなシステムの待ち行列ネットワーク・モデルを定義する。最初に、システム・スループットX、はゼロであると仮定する。(これは最初の繰返しの間、ディスクの実効サービス要求時間の競合要素をゼロにセットすることをもたらす。)
  • 2.
    • 以下のように繰り返す。
    • 2.1.
      • 個々のディスクkについて、そのディスクに関する要求のチャネル稼動率への寄与量を以下のように見積もる。
        • U_{ch}(k)=XV_ktransfer_k
      • ただしXは1つ前の繰返しから得られる。
    • 2.2
      • チャネル稼動率を見積もる。
    • 2.3
      • 個々のディスクkについて、
        • 再コネクトが成功する前に必要なリトライの回数の平均を以下のように見積もる。
          • retries_k=\frac{U_{ch}-U_{ch}(k)}{1-U_{ch}}
        • 実効サービス要求時間を以下のように見積もる
        • D_k=V_k\left[seek_k+latency_k\right\.
          • \left\.+transfer_k+(retries_k{\times}rotation_k)\right]
    • 2.4
      • 待ち行列ネットワーク・モデルを評価する。
    • システム・スループットXの連続する見積が充分近くなるまでステップ2を繰り返す。
  • 3.
    • 最終繰返しから性能尺度を得る。

アルゴリズム10.2 非RPSディスク


 例として我々はセクション10.2で考察したシステムに戻ろう。しかし、ディスクは回転位置センシングの機能を持つと仮定する。各々のディスクの回転時間を17msecとし、ディスクあたりのオペレーションの数を120とする。表10.2に繰返しを示す。非RPSの場合と比較して、システム・スループットは17%増加したがチャネル稼動率は23%減少したことに注意しよう。


 非RPSの場合と同様に、このアルゴリズムは、ステップ2.1と2.3で個々のチャネル・サブシステムを別々に考慮することにより、各々がCPUをディスクの特定の集合と接続しているような複数チャネルを持つコンピュータ・システムに適用出来る。また、2つの単純な修正によって複数クラスに一般化することもできる。ステップ2.1の等式は

  • U_{ch}(k)=\Bigsum_{c=1}^C\left[X_cV_{c,k}transfer_{c,k}\right]

になり、ステップ2.3の2番目の等式は

  • D_{c,k}=V_k\left[seek_k+latency_{c,k}+transfer_{c,k}+(retries_k{\times}rotation_k)\right]

となる。(ディスクの回転時間と再コネクト成功前に必要なリトライ回数の平均は客クラスと独立である。)