13.3.1.CPUのアップグレード:Quantitative System Performance

13.3.ハードウェアの変更」の続きです。( 目次はこちら

13.3.1.CPUのアップグレード


 たぶん最も普通な構成変更は同じアーキテクチャのプロセッサのファミリ内でのCPUのアップグレードだろう。幸い、これもまた待ち行列ネットワーク・モデルを用いて評価するのに最も簡単な変更のひとつでである。1つのファミリ内のプロセッサ間の相対命令実行レートは一般に、ベンダやユーザ・グループに知られており、公表されている。よって、主要パラメータ変更はCPUサービス要求時間に、古いCPUの処理レート(r_{OLD})の新しいもの(r_{NEW})に対する比をかけることである。

  • 個々のクラスcについて
    • D'_{c,CPU}\leftar\frac{r_{OLD}}{r_{NEW}}{\times}D_{c,CPU}


CPUアップグレードの通常の副次効果は、可変オーバヘッドの変化である(セクション13.5で考察される)。そのようなアップグレードにはしばしばメモリやI/O装置の追加が伴う(のちのサブセクションでこれらの変更を反映させる方法を提案する)。
 より速いCPUを獲得するのではなく、二番目のプロセッサを獲得して密結合マルチプロセッサ・システムを形成することがときどき可能である。第11章で検討したように、モデルのパラメータへの対応する主要な変更は、プロセッサ群を、2以上の客が存在する時に、1客しか存在しない時の約2倍のサービス・レートを持つFESCとして表現することである。重要な副次効果はメモリや共有データ構造をアクセスする際のプロセッサ間の干渉である。この干渉によって、デュアル・プロセッサのキャパシティは、1個のプロセッサのキャパシティの2倍よりかなり小さくなる。もし適切な測定データが利用可能であれば、FESCのサービス・レートは干渉の程度を反映して設定出来る。セクション13.6の例は1プロセッサからデュアル・プロセッサへの変更を扱う。