ポンペイ展


今の会社では今週が夏休みです。名古屋にポンペイ展がきていたので見に行ってきました。ここ十数年、こういう文明展のようなものに行くのがおっくうになっていたのですが、そしてローマ文明だと特に見ることを躊躇していたのですが、平日に見に行く機会はそうそうないだろうと思って行きました。行ってよかったと思います。ローマ文明だとなぜ見るのを躊躇するかというと、私の感覚ではあまりにも現代との差が少なくて新鮮な驚きがないのでは、という危惧を抱いてしまうからです。中学や高校の時に見たアステカ文明展やマヤ文明展、チグリス・ユーフラテス文明展、成人してから何回か見たエジプト文明展には、今とはまったく別の思考感覚体系みたいなものが感じられて「う〜ん」とうなってしまうのですが(アステカ文明展で、巨大なコアトリクエの石像を前にした時の衝撃は30年以上たった今でも忘れられませんhttp://homepage.mac.com/geo_p/pottering/k_etc/k03_worldtrip/9302mexico/9302mexico_photo/Mexico0055.jpg)、きっと古代ローマにはそういうのは少ないだろうな・・と、そんなことを思っていました。


しかし、会場に入って壁にかかれた風景画を見たとたん、あっ、これは本当にハドリアヌス帝の頃の世界だ、と感じて(あとでよく考えたらハドリアヌスの時代よりは少し前なのですが)すっと、その世界に入ることが出来ました。彫像はよく美術史に出てくるような大理石の彫像で、特に女性の彫像は見つめていると動き出しそうな気がします。
 壁画の中にはギリシア神話に題材を採ったものや、神話とはあまり関係なくキューピッドが大勢、宙に舞いながらいろいろな仕事(飾りつけやら、葡萄の収穫やら)をしているのを描いたものがあり、私は不思議とこれが、かつて(15年前)スコットランドエジンバラでみたホリルード宮殿(そう大きくはない宮殿ですが、今でもエリザベス女王一家が避暑の際に使用しています)の内装に似ている、と感じていました。あとで家でホリルード宮殿のパンフレットを見てみたら、19世紀のタペストリーの絵がポンペイのキューピッドの絵に似ています。不思議だな、と思ったのですが、きっと18世紀にポンペイが発掘されてから、そこの様式がヨーロッパ各王室に流行したんだろうな、と想像しました。ということで、この展示会で目にするものはやはり、見慣れたものが多い、と感じました。


展示されていた壁画の中で個人的に一番気に入ったのは上の写真にも出ている「アキレスとキローン」(アキレウスケイローン)です。右側の若いほうがアキレウス、左側がケイローンで、上の写真からは見えませんが下半身が馬になっています。これを見ている時、ある人の声を聞いた気がしました。「いて座はケンタウロスのケイロン。彼はアキレウスの師傅でした・・・・・・」