16.2.3.ユーザ・インタフェース:Quantitative System Performance

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16.2.3.ユーザ・インタフェース


 待ち行列ネットワーク・モデル化ソフトウェアの重要な属性は性能モデルの便利な表現である。図16.1のレベル3であるユーザー・インタフェースは、その主要な専門対象がコンピュータ・システムであるような解析者によって性能スタディが効率的に実行出来るように、待ち行列ネットワーク・モデルの世界とコンピュータ・システムの世界の間のギャップを埋めなければならない。
 多くの場合、待ち行列ネットワークの概念はコンピュータ・システムの概念に直接対応する。例えば、クラスや作業負荷要素に、センターはデバイスに、客はユーザまたはジョブに対応する。これらの待ち行列ネットワークの概念は、ユーザ・インタフェース層による少しの介入によって解析者に見えるようになる。
 他の場合には、対応はそれほど直接的ではない。特に、ユーザ・インタフェース層は解析者と変形層との相互作用を円滑にする。一例として、セクション10.5で記述されたようにマルチパス化I/Oがモデル化される時、ユーザ・インタフェース層は、解析者がシステムをチャネルやコントローラや、ストリングのヘッドやディスクや論理チャネル(IBM構成の場合)の用語で記述することを可能にし、この情報を変形層に受入れ可能な形に翻訳する。次に変形層はこの情報を用いて、中核ルーチンと繰り返して相互作用しながら、さまざまなディスクの実効サービス要求時間を見積る。中核ルーチンは変形層が提供する一連の分離可能モデルを評価する。最後に、変形層とユーザ・インタフェース層は意味のある形で性能測定値を提供する。
 関連するファシリティは、解析者が「タイプ」をデバイスに関連付け、このタイプに関連する特性をソフトウェアに指定することを可能にする。これは修正解析の時に役に立つ。単純な例として、既存システムが1台のIBM 3081-D CPUを持ち、予定していた修正の1つは3081-Kにアップグレードすることであるとしよう。もしこれら2つのプロセッサの相対スピードがソフトウェアに知られているのであれば(実際、それらは約4.0と5.5である)、以下の一連の相互作用が可能になるだろう。

  • 解析者はベースライン・モデルの全ての入力を提供する。
  • 解析者はCPUと3081-Dと特定する。
  • ベースライン・モデルは妥当性を確認される。
  • 解析者はCPUタイプが3081-Kに変わることを指定する。
  • ソフトウェアは内部情報に基づいてCPUサービス要求を調整する。

類似の方法が他のデバイスにも適用出来る。
 ユーザ・インタフェース層は通常、会話セッションの間、モデル定義を保存し、呼び出し、編集する能力を提供している。というのはモデル修正は待ち行列ネットワーク・モデル化ソフトウェアとのやり取りにおいて主要な活動だからである。出力レポートもまた処理後作業のために保存される必要がある。
 ユーザ・インタフェース層が提供するファシリティの最後の例は、解析者が大部分の現代のタイムシェアリング・システムが提供する「execファイル」や「コマンド・ファイル」のファシリティに類似した単純な言語を用いてパッケージを「プログラムする」手段である。このファシリティの単純な応用はパラメトリックスタディ(例えば、アクティブ端末数の増加の影響についての)を自動的に実行することである。もちろん、解析者は、直接ソフトウェアとやり取りをして、興味のある個々の個体数を持つモデルを評価するために別々のコマンドを発行することによって、そのようなスタディを実行することが出来るであろう。しかし、よりよい方法は、パッケージが解釈する際に、この仕事を遂行するような単純なプログラムを書くことである。より洗練された応用は、特定の環境に特有のサブシステム用の、パートIIIで記述した確立した技法に類似した新しく特化した評価技法を実行することである。


16.2.4.高級フロントエンド」に続きます。