16.2.2.近似変形:Quantitative System Performance

16.2.1.中核計算ルーチン」の続きです。(目次はこちら

16.2.2.近似変形


 詳細に見ていった時、多くのサブシステムは、非分離可能待ち行列ネットワーク・モデルを導くような特徴を持っている。中核計算ルーチンの一つ上のソフトウェア階層である近似変形図16.1のレベル2)はこれらの非分離可能モデルを中核ルーチンに適した形に翻訳する。言い換えれば、近似変形はパートIIIで記述した技法に対応している。これらの技法の多くが中核ルーチンと繰返しの関係を要求する。変形は中核ルーチンに適した入力を提供し、中核ルーチンの出力は変形への追加の入力として使用される。
 セクション9.3.2の独立メモリ制約を持つC個のクラスの処理を考察しよう。ある意味では、C個の異なる分離可能低レベル・モデルと、C個の異なる分離可能高レベル・モデルが存在する。クラスcに対応する低レベル・モデルは、その平均中核サブシステム個体数で表現されたc以外の個々のクラスを持ち、クラスcの個体数は1からメモリ制約であるM_cまで変化させられる。クラスcに対応する高レベル・モデルは低レベル・モデルから得られたFESCを用いる単一クラス・モデルである。個々のモデルは中核ルーチンによって評価され、変形層はいくつかのモデルの出力を用いて他のモデルの入力を定義する。
 もう一つの例はセクション10.3のRPSディスクの処理である。ディスクを表現するセンターでのサービス要求時間はシークとレイテンシーとデータ転送の要求時間以上のものを反映しなければならない。近似変形はアルゴリズム10.2でのように、パス競合による要素を見積り、実効サービス要求時間を計算し、それは中核ルーチンに渡される。やはり、この処理は繰返し形式である。
 変形のほかの例は優先スケジューリング(セクション11.3)とマルチプログラミング・レベル(セクション9.2)を表現するために使用される変形を含む。