17.2.MVSの概要:Quantitative System Performance

17.1.導入」の続きです。(目次はこちら

17.2.MVSの概要


 このセクションでは多くの主要なコンピュータの実装で稼動しているIBMのMVS OSのいくつかの側面を紹介する。MVSには性能に関係するいくつかのコンポーネントと特徴があり、よってMVSシステムのモデル化のとって重要である。
 MVS内の作業負荷要素は実装性能仕様(Installation Performance Specification:IPS)で定義される。ひと組の性能グループが決められ、それらの各々は任意にひと組の性能期間に分割される。入ってくるトランザクションはそのIDに基づいていくつかの特定の性能グループの最初の性能期間に入る。
 サービス目標は個々の性能期間と関連づけられ、それはその期間に属するトランザクションサービス・ユニットを獲得する希望のレートを宣言する。サービス・ユニットは論理的I/O操作と、主ストレージ占有量(50KB秒の単位で)とCPUサービス時間(百分の1秒の単位で測定され、プロセッサのスピードを反映するファクタで調整されたもの)の重み付け合計として計算される。重みはサービス定義係数と呼ばれ、実装マネージャによって設定される。
 システム・リソース・マネージャ(SRM)はリソースの割当てを制御する。SRMの決定はその関係するサービス目標と比較した、トランザクションの進捗に基づく。達成したサービスの指定されたしきい値トランザクションが達するたびに、それらはある性能期間から次に移る。次に続く性能期間のサービス目標は、リソース割当てにおける優先度を下げることを要求する。しきい値はある期間に入るトランザクションの大部分がその期間内に完了するように選ばれる。これは、より長いトランザクションを冷遇することによって短いトランザクションのよい応答時間を提供する効果を持つ。
 メモリを巡る競合はひと組のドメインを定義し、個々のドメインで同時にアクティブになれるトランザクションの数の制限を決め(ドメイン・キャパシティ)、個々の性能期間をあるドメインに関係付けることで処理される。同じドメインに関係付けられた期間内のトランザクションは互いにメモリを巡って競合する。
 MVS実装で定義された通常の性能グループはバッチ(おそらく生産とテストのようなコンポーネントに分割される)とTSOを含む。他の性能グループは開始タスク(けっして終了しないジョブ)に対応する。開始タスクはIMS Control Regionと関連Message Processing Region、CICS、TCAM, JESのような主要サブシステムや、RMFや他の性能モニタのようなより小さなタスクを含むだろう。


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