17.1.導入:Quantitative System Performance

16.6.参考文献」の続きです。(目次はこちら

17.1.導入


 第12章で我々は一般論として、システムに関する知識と測定データとアカウンティング・データから待ち行列ネットワーク・モデルの入力パラメータの値を決める方法について記述した。この章ではより具体的に記述する。つまりIBMのMVS OSを走らせているコンピュータ・システムのモデルのためのパラメータ値の決定を考察し、MVSリソース測定ファシリティ(RMF)から得られる情報を用いる。我々はいくつかの理由からMVSを特別扱いして選んだ。

  • より大きな実装が他の単一のOSではなくてMVSを走らせている。
  • 他のシステムと作業する多くの性能分析者が自分のバックグラウンドにMVSの経験を持っている。
  • MVSと関係する測定とモニタのファシリティは他の大部分のシステムのファシリティよりもバライアティがあり洗練されている。


 この章はMVSとRMFに係わっている人々にとって最も有用であるが、ここで示す技法と困難は多くのシステムの状況で発生する技法と困難と類似している。MVSとRMFになじみのない人々の理解を促進するために、セクション17.217.3はそれらに関連する概念と用語の紹介を提供する。我々の議論は、やむをえず比較的表面的になり、MVSとRMFの特定のリリースに関連している。
 第12章の構造に従って、セクション17.417.517.6はそれぞれ客の記述、センターの記述、サービス要求時間の記述を扱う。セクション17.7は、モデル妥当性確認のために性能尺度がどのようにRMFレポートから導くことが出来るのかを示す。これらのセクションの各々において、我々は最初にRMFレポートから対応するパラメータ値を決定するのに使われる技法を説明し、次に、「二重枠」段落で、特定の例の状況でのこれらの技法を示す。この例は、16MBの主メモリと12個の物理チャネルと約150台のIBM 3350ディスク・ドライブを持つAmdahl 470 V/8上でMVSを走らせる実装からの標準RMFレポートに基づいている。作業負荷は会話(TSO)とバッチの2つの要素から成る。RMFの報告期間は午後のピーク負荷期間の間の1時間であった。このシステムは多くの大規模MVS実装よりもずっと単純である(例えば、それは作業負荷要素がより少ない)。しかしそれは、基本的なパラメータ決定技法を示すのには充分である。
 我々がこの本の中でずっと強調してきたように、特定のモデル化スタディの目的はモデルの構築の際に考慮に入れておかなければならない。我々の例では調査すべきシステムの変更は負荷強度の中程度の変化であると仮定する。この仮定には2つの目立った意味がある。

  • 調査される修正の下ではディスク・サービス要求時間のさまざまな要素は目立って変化しないと予想されるので、第10章で記述したような、ディスクI/Oサブシステムの洗練された表現を含める必要がない。
  • ページング活動の量が顕著に変化しないと予想されるので、作業負荷要素によるページング活動の注意深いブレークダウン(RMF単独では得るのが難しい)を我々は要求しない。


17.2.MVSの概要」に続きます。