- 作者: ヴィルヘルム・グレンベック,山室静
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/09/10
- メディア: 文庫
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スギョルド家とハドバルド家
- デンマークの話。
- 大昔のある時、デーン人たちは一人の小さな少年が眠っているだけでほかに誰も乗っていない船が岸にやってくるのを発見する。少年のまわりには武器が積み上げられていた。デーン人たちはこの少年の神性を認め、民会に連れていき、自分たちの王に推戴した。これがスギョルド家の始祖、スギョルドである。
- スギョルドから代々、王が続いたがハルフダン王の時、ハドバルド家のフロデがハルフダンを倒し、彼の王国を編入した。
- フロデ王は、ある巨人から望みをかなえるという魔法の石臼を贈られていた。しかし、それを回すことは誰にも出来なかった。ある日フロデ王が買った2人の奴隷女は実は巨人族の生まれであったのでこの石臼を回すことが出来た。そこで彼は2人にひっきりなしに石臼を回すよう命じた。2人はフロデ王に幸運と豊作を挽き出した。すると王は今度は平和を挽き出すように命じた。2人は石臼を回してフロデ王のために平和を挽き出した。それでも王は満足せずさらに石臼を回すように命じた。とうとう怒った2人は、フロデ王に復讐を引き出した。石臼を回して回してついに石は砕けて臼は崩れおちた。
- フロデ王に復讐したのはスギョルド家のハルフダン王の幼い息子ロアールとヘルゲであった。彼らはレギンという男やヴィフィルという農夫に匿われ、育てられた。やがてロアールとヘルゲは馬鹿者のふりをし、フロデ王の宮廷に出入りするようになる。フロデ王の祝宴の時に2人は宮廷に火を着けてフロデ王をその部下もろとも焼き殺す。そしてロアールが王位についた。
- ヘルゲはバイキング行に出かけ、サクソン族の女王オーロフを手に入れようとする。しかし逆にオーロフにさんざんにコケにされる。ヘルゲは別の機会にオーロフをおびき出し復讐する。オーロフは妊娠したがヘルゲはオーロフを捨てていった。オーロフは女の子を産む。オーロフはその子に自分の犬の名をとってイルサと名づけ、自分の下男の一人に育てさせた。そのため誰もイルサがオーロフの子であると気付かなかった。ヘルゲはある時バイキング行の途中サクソン国の海岸でイルサを見つけ、我が子とは知らずに奪ってこれと結婚した。2人には息子ロルフが生まれた。2人が幸せに暮らしていると聞いて妬んだオーロフはヘルゲのところへ行き、イルサがヘルゲと自分の子であることを告げる。それを聞いたイルサはヘルゲの元を去る。ヘルゲはそれからは何日も寝込み、誰とも口をきかなくなり、その後、遠い異郷に行って、戦いに倒れた。
- ベーオウルフの話がここに入る。ただし、舞台はロアール王の宮廷になり、ベーオウルフはビョーウルフという名前で登場する。ロアール王の宮廷に魔物グレンデルが出現して戦士たちを殺していったが、ゴート族の若者ビョーウルフがこれを退治する、という話。
- ロアール王はスギョルド家とハドバルド家の確執を解消するために、娘のフレイヤヴォールをハドバルド家のフロデの息子イングヤルドに嫁がせた。最初は両家はうまくいったのであったが、ハドバルド家の戦士の中にはフレイヤヴォールと一緒にやってきたスギョルド家の従士たちに敵意を持つ者が多くいた。その一人がスギョルド家の従士を切り殺したことをきっかけに両家は戦闘に入り、この戦いでハドバルド家は再起出来ないまで打ち倒された。
- ロアール王の宮廷を助けていたのは弟ヘルゲの息子ロルフであった。ロアール王が死ぬとその息子のレーリクが跡を継いだが、彼には王としての器量がなかった。レーリクを王として戴くことに不満を持つ者たちがロルフを王に推戴し、ロルフはレーリクを破って王位につく。ロルフは部下に物惜しみをしない、そして戦いにおいては勇敢な名君であったので、その下には多くの優秀な戦士が集まってきた。
- ロルフは自分の親族ヒョルワルドに急襲される。ロルフの戦士たちは勇敢に戦うが、戦い利あらず倒れていく。ロルフもついに戦死する。戦いに勝ったヒョルワルドを殺したのはロルフの部下のウォッグであった。ウォッグもその場でヒョルワルドの戦士たちに殺される。