M/M/1/n待ち行列(2)
「M/M/1/n待ち行列(1)」の最後の図はこのような図でした。
ところでこの図は、状態の時にはジョブが到着しない、ということを表しています。これはどういうことかと言いますと、ステーション内のジョブ数が以下の時のみ、ジョブは指数分布の到着時間間隔で到着するということです。あるいは、こう言い換えることが出来ます。ジョブは平均時間の指数分布の到着時間間隔で常に到着しているのであるが、ステーションが満杯の時(つまり状態の時)には到着したジョブはステーション内に入らずに消えてしまう、ということです。ということは到着したジョブが全て装置で処理されるわけではなく、ある割合で消えてしまう、ということです。もし、全てのジョブが装置で処理されるのでしたら
は装置の稼働率を表していたことでしょう。しかし、実際にはは装置の稼働率ではありません。装置の稼働率はその定義から
- ・・・・(14)
で与えられます。また、は装置稼働率ではないのでという制限はありません。
このようなことに注意しつつ「M/M/1/n待ち行列(1)」の最後の結果、式(13)
- ・・・・(13)
からの式を求めます。
全確率の定理から
- ・・・・(15)
ここで式(13)を代入すると
- ・・・・(16)
ここでと仮定して「よく使う式」の式(1)(ここでは番号を振りなおして式(17)とします)
- ・・・・(17)
を用いれば
よって
よって
- ・・・・(18)
これを式(13)に代入すれば
- ・・・・(19)
これでを求めることが出来ました。
装置稼働率は式(14)から
よって
- ・・・・(20)
これで装置稼働率が求まったので、次はX-Factorを求めたいのですがこれは簡単にはいきません。まず、WIPを求め、次に装置稼働率からスループットを求め、リトルの法則を用いてWIPとスループットからサイクルタイムを求めます。最後に
サイクルタイムからX-Factorを求めます。
WIP、は定義から
- ・・・・(21)
となります。ここで式(13)を代入すると
ここでと仮定して「よく使う式」の式(2)(ここでは番号を振りなおして式(22)とします)
- ・・・・(22)
を用いれば
さらに式(18)を代入すれば
よって
- ・・・・(23)
となります。
一方、スループットは
- ・・・・(24)
となります。ここで式(20)を用いれば
- ・・・・(25)
よって
- ・・・・(26)
よってX-Factor, は
- ・・・・(27)
となります。よって装置稼働率とX-Factor, の関係はパラメータを媒介にして
- ・・・・(20)
- ・・・・(27)
- ただし
で表されることになります。ステーション内のジョブ数に制限をつけただけでものすごく複雑な式になってしまいました。最後にの時のとを求めておきます。
「M/M/1/n待ち行列(3)」に続きます。