リー・ロントンの近似式を根拠づける試み(10)

リー・ロントンの近似式を根拠づける試み(9)」の続きです。
ここまでくれば、あとは簡単です。

  • \hat{CT}_{q(M/D/s,t_e)}{\approx}\hat{CT}_{q(M/D/1,t_e/s)}・・・・(3)

でした。まず

  • CT_{q(M/D/1,t_e/s)}=\frac{1}{2}\frac{u}{1-u}\frac{t_e}{s}

つまり

  • CT_{q(M/D/1,t_e/s)}=\frac{1}{2s}\frac{u}{1-u}t_e・・・・(4)

です。ところで装置が全部空いていない確率は(全部といっても装置は1台なので)uです。ということは、

  • \hat{CT}_{q(M/D/1,t_e/s)}=\frac{1}{2s}\frac{u}{1-u}t_e{\times}\frac{1}{u}

つまり

  • \hat{CT}_{q(M/D/1,t_e/s)}=\frac{1}{2s}\frac{1}{1-u}t_e・・・・(5)

ということになります。式(3)と式(5)から

  • \hat{CT}_{q(M/D/s,t_e)}{\approx}\frac{1}{2s}\frac{1}{1-u}t_e・・・・(6)

ところでs台の装置が全てふさがっている確率は\Pi_{M/D/s}であるので

  • {CT_{q(M/D/s,t_e)}{\approx}\frac{1}{2s}\frac{\Pi_{M/D/s}}{1-u}t_e・・・・(7)

そして

  • \Pi_{M/D/s}{\approx}\Pi_{M/M/s}・・・・(8)

なので

  • {CT_{q(M/D/s,t_e)}{\approx}\frac{1}{2s}\frac{\Pi_{M/M/s}}{1-u}t_e・・・・(9)

ところで「リー・ロントンの近似式を根拠づける試み(6)」の式(8)(ここでは番号を振り直して式(10)とします)

  • CT_{q(M/M/s)}=\frac{\Pi_{(M/M/s)}}{(1-u)s}t_e・・・・(10)

を用いれば式(9)は

  • {CT_{q(M/D/s,t_e)}{\approx}\frac{1}{2}CT_{q(M/M/s,t_e)}・・・・(11)

となります。
ここで「Kingmanの近似式の拡張の導出についての考察」の式(3)(Pageの近似式。ここでは番号を振り直して式(12)とします)

  • CT_{q(GI/G/s)}{\approx}c_a^2c_e^2CT_{q(M/M/s)}+c_a^2(1-c_e^2)CT_{q(M/D/s)}+c_e^2(1-c_a^2)CT_{q(D/M/s)}・・・・(12)

をM/G/sに適用するとc_a=1であることに注意すれば

  • CT_{q(M/G/s)}{\approx}c_e^2CT_{q(M/M/s)}+(1-c_e^2)CT_{q(M/D/s)}・・・・(13)

ここに式(11)を代入すれば

  • CT_{q(M/G/s)}{\approx}c_e^2CT_{q(M/M/s)}+(1-c_e^2)\frac{1}{2}CT_{q(M/M/s)}
    • =\frac{1+c_e^2}{2}CT_{q(M/D/s)}

よって

  • CT_{q(M/G/s)}{\approx}\frac{1+c_e^2}{2}CT_{q(M/M/s)}・・・・(14)


これで、リー・ロントンの近似式が成立することを示すことが出来ました。