D/M/1待ち行列におけるbの近似式

D/M/1待ち行列においてジョブ到着直前にシステム内にジョブがk個存在する確率\pi(k)

  • \pi(k)=(1-b)b^k ただしbは定数 ・・・・(1)

で求めることが出来ることが「D/M/1待ち行列の到着時刻状態分布(1)」「(2)」から分かりました。ただしbの値は

  • \frac{1}{b}\exp\left(\frac{b}{u}\right)=\exp\left(\frac{1}{u}\right)・・・・(2)

を満足するものということです。ところがこの式をb=という形に直すことが出来ないため、bを直接計算することが出来ません。これは\pi(k)を計算するのに不便です。そこでbを近似的に計算する方法を考えました。それをご紹介します。


まず「D/M/1における待ち時間の式の導出」の式(17)(ここでは番号を振り直して式(3)とします)で示したようにジョブの平均待ち時間CT_q

  • CT_q=\frac{b}{1-b}t_e・・・・(3)

でした。さらに、CT_qは「D/M/1における待ち時間の近似式」の式(6)(ここでは番号を振り直して式(4)とします)で示したように

  • CT_q\approx\frac{u^2}{2(1-u)}t_e・・・・(4)

でもありました。式(3)と(4)からbについての近似式を求めることが出来ます。

  • \frac{b}{1-b}t_e\approx\frac{u^2}{2(1-u)}t_e
    • \frac{b}{1-b}\approx\frac{u^2}{2(1-u)}
    • 2(1-u)b{\approx}(1-b)u^2
    • (2-2u)b{\approx}u^2-u^2b
    • (2-2u)b+u^2b{\approx}u^2
    • (2-2u+u^2)b{\approx}u^2

よって

  • b{\approx}\frac{u^2}{2-2u+u^2}・・・・(5)

これをグラフ化してbの正しい値と比べるとよい近似になっていることが分かります。