上御井(かみのみい)神社


御井神社は、一般の人が立ち入り出来ないところにあるので、ネットで検索するとよく、ここから遥拝している写真や動画が出ている。
この神社はまたの名を忍穂井(おしほい)という泉であり、この泉から水を汲んで天照大神へ供える。この忍穂井は、高天原(たかまのはら)の泉を地上に移したものだという。


忍穂井を 今日若水に 汲み初めて 御饗(みあえ)手向くる 春は来にけり(度会家行)



別の方角から、上御井神社の方面を見る。やはり、見えない。


山本ひろ子氏の「中世神話」

には、この忍穂井の神話が紹介されている。

 降臨に際して皇孫命(すめみまのみこと)は、度会神主の先祖=天村雲命を召して詔した。「治める国(食国(おすくに))の水は熟していず、荒い水である。また水も忘れてきてしまった。だから御祖命(みおやのみこと)のもとに参ってこの由を申せ」。
 そこで天村雲命は御祖命の所に上り、詳しく事の次第を述べた。すると御祖命は詔した。
「さまざまの政(まつりごと)を天下に伝えたが、水取(もいと)りの政は、逸してしまった。どの神を下そうかと思っていたところ、勇ましくもやってきたことだよ。忍穂井の水を取り持ってゆき、八盛(やもり)に盛って奉れ。その残りを食国の水に灌(そそ)ぎ、和らげよ。また降臨にお伴する八十人の従者たちにも、この水を飲ませよ」。こう詔して、神は神宝(かんだから)と清らかな水を授けた。(後略)
(『神宮雑例集』所載『大同本記』)


山本ひろ子著「中世神話」より



私はグーグルマップで見て、実はここが上御井神社に一番近いのでは、と思ってここから拝んだ。上に引用した忍穂井のことを思い出すと、放射能に汚染された水や海のことが頭に浮かんだ。


食国の水に灌ぎ、和らげよ。