昔の痛い思い出が教える・・・・(2)
「昔の痛い思い出が教える・・・・(1)」の続きです。
では、M/M/sの場合について式(9)(10)
- [tex:k
- ・・・・(9)
- の時
- ・・・・(10)
- ただし
- ・・・・(4)
を評価してみます。
M/M/sでは式(4)は、なので
- ・・・・(11)
となります。よって式(10)は
- の時
- ・・・・(12)
となります。式(9)は式(9)のままです。
- [tex:k
- ・・・・(9)
これに実際の値を入れて、その結果を下に示す式(1)(3)での結果、つまりより厳密な計算の結果、と比較してみます。
- [tex:k
- ・・・・(1)
- ただし、・・・・(2)
- の時
- ・・・・(3)
- ただし
- ・・・・(5)
ただし、式(3)はM/M/sの場合、式(11)により
- の時
- ・・・・(13)
となります。
さて、実際にに適当な値を入れて式(12)と式(13)を計算し、その結果を比較したところ、まあまあ似た値が導かれるのですが、式(1)と式(9)を比較すると大きく値が違っていました。特にの値が大きく異なっています。以下のグラフに、の値を変えた時の式(9)によるの値を示します。
このように式(9)によるの値はが0.3より小さくなると急速に大きくなり、1以上という確率の値としてはありえない値を示すようになります。これは明らかにおかしいです。ということは式(9)は近似式としてはふさわしくない、ということです。
どうしてこんなことが起きたのでしょうか? 前回の「昔の痛い思い出が教える・・・・(1)」において
式(2)と(5)から
- ・・・・(7)
としたところに問題があります。式(7)自体は問題ないのですが、の値が小さいときも
も非常に小さい値になります。小さい値を小さい値で割るため、に近似式
- ・・・・(6)
を使うとその誤差が増幅されてしまうのです。