M/M/s待ち行列のサイクルタイム分布
「M/M/s待ち行列の待ち時間分布」の結果を利用することでM/M/s待ち行列のサイクルタイム分布を求めることが出来ます。「M/M/s待ち行列の待ち時間分布」の式(7)(ここでは番号を振り直して式(1)とします)
- ・・・・(1)
は積分すると
となって
とはなりません。これは式(7)がの時の分布であるためです。であるとはつまり全ての装置がふさがっている場合ですから、式(1)分布の積分の結果がであるというのは整合が採れています。そこで、今、全ての装置がふさがっている場合の条件確率として待ち時間の分布をで表すならば、それは式(1)の右辺を全ての装置がふさがっている確率で割ったものになります。つまり
- ・・・・(2)
です。では、全ての装置がふさがっていることを前提にして、この場合のジョブのサイクルタイムの分布を求めてみましょう。サイクルタイムは待ち時間+処理時間でした。待ち時間の分布は式(2)で与えられます。処理時間の分布をで表すと
- ・・・・(3)
です。よってサイクルタイムの分布は、とのたたみ込み積分になります。
よって
- ・・・・(4)
となります。
さらに、空いている装置がある場合のジョブのサイクルタイムは処理時間だけなので式(3)で与えられます。よって、全ての場合についてのジョブのサイクルタイムの分布は、確率で式(4)であり、確率で式(3)なので、サイクルタイムの分布をで表せば、
- ・・・・(5)
です。式(5)に(3)と(4)を代入して
- ・・・・(6)
となります。M/M/s待ち行列のサイクルタイムの確率分布の式を求めることが出来ました。しかし、これは複雑で直感的には分かりづらい式になってしまいました。
確認のためにの時、つまりM/M/1の時に式(6)がどのようになるか確かめておきます。
の時
よって
となり、「M/M/1待ち行列のジョブのサイクルタイム分布」の式(4)と一致します。