GI/G/s待ち行列の待ち時間分布を求めて(2)
「GI/G/s待ち行列の待ち時間分布を求めて(1)」で、の場合と、の場合の式(8)
- ・・・・(8)
の妥当性を確かめてきましたが、正直なところ私はまだ安心出来ていません。それは過去に和訳したWhitt教授の論文「Queueing Network Analyzer」に以下の箇所があることに気がついたからです。
遅延の確率、ここではで表す、については、KraemerとLangenbach-Belzの近似*1
(48)を用いる。ただし、
(49)公式(48)はM/G/1システム、つまり、についても正しい値をもたらす。(48)についてさらに支持する証拠はWhitt*2に含まれている。
さて、式(8)のはGI/G/s待ち行列の待ち時間の累積確率分布の近似を与える式、「GI/G/s待ち行列の待ち時間分布を求めて(1)」の式(3)
- ・・・・(3)
で用いられています。ここから
- ・・・・(9)
を導くことが出来、さらになのでは、すなわち待ち時間がない場合の確率を表すことになります。よって、到着したジョブが待つ確率は
- ・・・・(10)
となります。これは、上のQueueing Network Analyzerの引用で当時の私が「遅延の確率」と訳したと同じ意味です。ただし、上の引用の箇所ではGI/G/1待ち行列を扱っています。つまりです。そこでの場合の式(10)を考えてみるとでになるので、結局、到着したジョブが待つ確率は
になります。はたしてが上の引用に登場する式(48)(49)と一致するか、あるいは(どちらも近似式であるので)一致しないまでも近い値になるかどうか、が気になるところです。上の引用に登場する式(48)(49)を私がここで用いている記号で書き直しておきます。(式の番号も振り直しておきます。)
- ・・・・(11)
- ・・・・(12)
では、いろいろな、、の値について式(8)で求めたの値と式(11)(12)で求めたの値を比べてみます。