「待ち行列システムGI/G/1における待ちについての近似公式(3)」の続きです。
3.2 待ちの確率の近似
3.2.1 解法の基礎
平均待ち時間の先の例と同様に待ちの確率の公式の枠組みはさまざまな境界条件を満足しなければならなかった。妥当な基礎としてがもうひとつの調整関数であるとして
- ・・・・(3.8)
が選択された。境界条件は
a) の場合(例、ポアソン到着)が成り立つ。
b) でまた、でまた
c) で[tex:W1]でというのは良く知られた一般傾向である。
3.2.2 公式の開発
先ほどと同じように、劣指数と超指数の到着間隔の分布関数を別々に扱った。
3.2.2.1 劣指数到着間隔分布関数
D/D/1では定常状態でなので、
- ・・・・(3.9)
である必要がある。これは
- ()・・・・(3.10)
という一般形式を導いた。ただし、はやはり自由パラメータであり、これらはさらにに依存するかもしれない。
第一段階では、との決定のためにD/G/1システムが考察された。D/M/1についての事前調査では
- ・・・・(3.11)
が成り立つが、それは近似
- ・・・・(3.12)
を導いた。いまや(3.12)と(3.8)内の(3.10)がとの場合とによって
が導き出され、これからを採用すると、となる。
幸いなことに、とのこの選択は他のD/G/1システムについても有用であることが証明された。
さらにE2とE4の到着過程を考察すると同様に、とを導き、これらはについての最終結果(1.4)を導いた。
3.2.2.2 超指数到着間隔分布関数
について、調整関数の以下の形式が選択された。
- ・・・・(3.13)
パラメータはやはりに依存する可能性がある。H2/D/1システムを考察すると、とがシミュレーション結果を無理なく適合させることが判明した。
のへの影響は比較的小さいので、がすみやかに見つけられ、それらはについての最終結果(1.4)を導き出した。
3.2.3 数値結果の比較
図3.3は例としてE4到着過程を持つシステムの待ちの確率の結果とシミュレーション結果と比較したものを若干示す(小さな信頼区間は省略した)。3.3 誤差についての考察と適用の限界
これらの近似の適用について特に興味のあるのはそれらの精度についてである。到着間隔とサービス時間の分布関数の両方の1次と2次のモーメントしか考慮していないので、ある種の誤差が最初から許容されていた。
まず最初に、専用の(? dedicated)言明として、分布関数
- D, E4, E2, M, H2(), H2()
(ここでは「標準」タイプと呼ばれる)の任意の組合せを持つ全てのGI/G/1システムについて、平均待ち時間の誤差は与えられたトラフィックから0.9までについて20%未満である。通常、誤差は10%未満である。図3.1と3.2を参照。
H2分布関数の変動がより大きい場合であっても、条件
で制限されるだけで同じ誤差限界が得られる。この制限は実際の適用では重要ではない。
平均待ち時間近似について、滞在時間(待ち+サービス)の対応する誤差はかなり低く、特により低いトラフィックについてはそうである。
待ちの確率については、これらの誤差限界は、もし「境界」組合せD/E4/1を無視するならばそのまま維持することが出来る。
W. Kraemer and M. Langenbach-Belz,「Approximate Formulae for the Delay in the Queueing System GI/G/1」より