Pageの近似式の再検討(2)
「Pageの近似式の再検討(1)」のつづきです。
ところで私はGI/G/s待ち行列の平均待ち時間の近似式を導出する際に、Pageの近似式
- ・・・・(7)
から出発しています。(「GI/G/s待ち行列の平均待ち時間の近似式(1)」参照) 私が開発したの近似式
- ・・・・(1)
の精度が、の場合によくない、ということは実はこのPageの近似式の見直しにまで発展します。それはなぜか、ということをこれから述べていきます。
Pageの近似式をGI/M/1待ち行列に適用すると
- ・・・・(8)
ここで、もちろん
- ・・・・(9)
です。またについては私は「D/M/1における待ち時間の近似式」の式(6)(ここでは番号を振り直して式(9)とします)
- ・・・・(10)
を提案しました。式(9)(10)を式(8)に代入すると
よって
- ・・・・(11)
となります。これは「Pageの近似式の再検討(1)」の式(6)
- ・・・・(6)
にほかなりません。式(6)を導く際式(5)
- ・・・・(5)
を用いました。式(5)はGI/M/1の場合の式(1)です。この式(5)がD/M/1やE2/M/1の時には(そしてもちろんM/M/1の時にも)精度がよいのに、やのH2/M/1の場合には精度が悪いことを「「待ち行列システムGI/G/1における待ちについての近似公式」の内容検討(6)」「(7)」「(8)」で見てきました。このことは式(6)もまたD/M/1やE2/M/1の時には(そしてもちろんM/M/1の時にも)精度がよいのに、やのH2/M/1の場合には精度が悪いことを意味します。ところが式(6)はPageの式を前提にして導かれるので、このことはPageの式自体がD/M/1やE2/M/1の時には(そしてもちろんM/M/1の時にも)精度がよいのに、やのH2/M/1の場合には精度が悪いことを意味することになります。