Pageの近似式の再検討(3)

Pageの近似式の再検討(2)」の続きです。
では、実際にPageの近似式(7)

  • CT_q(GI/G/s){\approx}c_a^2c_e^2CT_q(M/M/s)+c_a^2(1-c_e^2)CT_q(M/D/s)+(1-c_a^2)c_e^2CT_q(D/M/s)・・・・(7)

をE2/M/1、c_a^2=2のH2/M/1、c_a^2=3のH2/M/1に適用してみてその精度を調べてみます。これら3つの待ち行列の場合c_e=1s=1なのでPageの近似式(7)は、

  • CT_q(GI/M/1){\approx}c_a^2CT_q(M/M/1)+(1-c_a^2)CT_q(D/M/1)・・・・(12)

となります。さてCT_q(M/M/1)については

  • CT_q(M/M/1)=\frac{u}{1-u}t_e・・・・(9)

でした。CT_q(D/M/1)の正確な値を求めるために「「待ち行列システムGI/G/1における待ちについての近似公式」の内容検討(8)」で求めたbの値

を「Pageの近似式の再検討(1)」の式(4)

  • CT_q=\frac{b}{1-b}t_e・・・・(4)

に代入してCT_qを求めることにします。式(4)の中でt_eの値が不明ですが、どんな待ち行列でもCT_qt_eに比例するのでCT_q/t_eの精度を調査することにします。式(12)に(9)を代入して

  • CT_q(GI/M/1){\approx}\frac{c_a^2u}{1-u}t_e+(1-c_a^2)CT_q(D/M/1)

よって

  • \frac{CT_q(GI/M/1)}{t_e}{\approx}\frac{c_a^2u}{1-u}+(1-c_a^2)\frac{CT_q(D/M/1)}{t_e}・・・・(13)

一方、式(4)から

  • \frac{CT_q(D/M/1)}{t_e}=\frac{b}{1-b}・・・・(14)

式(14)に上の表のbを代入すると下の表が出来ます。

E2/M/1の場合はc_a^2=1/2になるので式(13)は

  • \frac{CT_q(E2/M/1)}{t_e}{\approx}\frac{u}{2(1-u)}+\frac{1}{2}\frac{CT_q(D/M/1)}{t_e}・・・・(15)

になります。ここに先ほどの表を代入するとCT_q(E2/M/1)/t_eの近似値として

を得ます。これを「「待ち行列システムGI/G/1における待ちについての近似公式」の内容検討(7) 」で求めたE2/M/1のbの値を式(4)に代入して得られたCT_q(E2/M/1)/t_eの真の値と比較すると以下のようになります。

E2/M/1においてはPageの近似式の精度がとてもよいことが分かります。