同じ形の分布と倍率
ある分布の確率密度関数がであるとします。もうひとつ別の分布があってその確率密度関数をで表すことにします。この時
- ・・・・(1)
という関係があるならば、とは同じ形であると言うことにします。そしてを倍率と呼ぶことにします。
まず、が規格化されているならば、すなわち
- ・・・・(2)
ならば、[tex;f_2(t)]も規格化されていることを示します。
- ・・・・(3)
ここで
- ・・・・(4)
と置くと
よって
- ・・・・(5)
となって、も規格化されていることが分かります。次に分布に従う確率変数を、分布に従う確率変数をで表すことにします。、の平均をそれぞれ、で表すことにします。すると
よって
- ・・・・(6)
となります。すなわち、の平均はの平均に倍率をかけたものになります。次にの2乗平均を求めてみます。
よって
- ・・・・(7)
次にの分散を求めてみます。
- ・・・・(8)
式(6)(7)を式(8)に代入すれば
よって
- ・・・・(9)
次にの標準偏差は式(9)からただちに
- ・・・・(10)
となります。最後にの変動係数は式(10)と(6)を用いて
よって
- ・・・・(11)
よって2つの分布の形が同じである場合、その一方の平均は他方の平均に倍率をかけたものになり、変動係数は両者で同じになります。
また、式(1)によって分布を分布に変換することを、分布をa倍する、あるいは、分布をa倍に拡大する、と言い表すことにします。
あるGI/G/s待ち行列で、到着間隔分布と処理時間分布を同じ倍、拡大してもその待ち行列の稼働率は変わりません。これは平均到着間隔と平均処理時間が等しく倍されることから明らかでしょう。