Whitt教授の「Approxomations for the GI/G/m queue」の翻訳(12)

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2.7 数値比較
 近似と正確な値と比較した表の代表となるセットを提示する。Whitt (1985)は別の表を提示していた。これらの表を詳細に検討する前に、我々がどのように近似の品質を評価するかをコメントする価値はある。
 待ち行列の近似の品質を測定する標準的な2つのやり方が存在する。すなわち差の絶対値と相対パーセンテージ誤差である。私はどちらの方法も単独では通常、値の範囲全体に渡って適切であることはないことを強く主張する。私は通常、もし、差の絶対値があるしき値未満であるかまたは相対パーセンテージ誤差が別のしきい値未満であるかのいずれかであれば、非常に満足する。よって、最終の誤差の調整尺度(AME *1

  • AME=\min\{A|\rm{exact}-\rm{approx.}|,100(|\rm{exact}-\rm{approx.}|)/\rm{exact}\}・・・・(2.26)

となろう。ただしAは差の絶対値と誤算の相対パーセンテージの相対的な重要性を反映するために個々の場合に選択される定数である。
 私は全ての記述特性について予めAMEの定数Aを1つだけ選ぶことは出来ない。というのは差の絶対値の実際上の意味は変化するからである。1例として、期待待ち時間EWは時間の単位に依存する。別の例として、期待待ち行列EQは(2.2)のおかげで常に\lambda掛ける期待待ち時間EWであり、もし\tau=1になるように時間単位を決めたとしても、EQ=m\rho{EW}である。大きなmと与えられた\rhoの場合に、EQEWよりずっと大きくなる。EQについての定数Aはだいたいm掛けるEWについての定数Aであるだろう。
 誤差の特定の調整尺度の計算結果を私は示していないが、この議論は目標を説明している。相対パーセント誤差か差の絶対値のいずれかは小さくなければならない。その結果、軽負荷における大きな相対パーセンテージ誤差についてそれほど心配はない。例えば、m=20かつ\rho=0.50の場合は相対的にほとんど懸念はなく、m=100かつ\rho=0.50の場合、その値は通常、記録するには小さすぎる。
 表2〜5は(2.2)と(2.24)を組合わせた期待待ち行列EQの新しい近似を、(2.2)と(2.14)を組合わせた古い重負荷近似と、Kuhn (1976)による正確な値と比較している。D/M/mM/D/mの近似(表2と3)は、優れたものであることが知られているセクション2.5のCosmetatos (1975)の近似を少し修正したものに帰着する。


表2
D/M/mモデルにおける期待待ち行列長(サービス中の客を除く)の近似とKuihn (1976)による正確な値との比較

近似「新」は(2.2)プラス(2.24)である。この場合(2.24)は(2.20)に簡略化される。近似「重負荷」は(2.2)プラス(2.14)である。


表3
M/D/mモデルにおける期待待ち行列長(サービス中の客を除く)の近似とKuihn (1976)による正確な値との比較

\rho=0.98m=20と100のケースはSeelen、Tijms、van Hoorn (1985)による。

*1:Adjusted Measure of Error