Whitt教授の「Approxomations for the GI/G/m queue」の翻訳(11)

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から入手出来ます。


2.6.一般GI/G/mモデル
 一般のGI/G/mモデルの近似式を、少なくともc_a^2{\le}1かつc_s^2{\le}1の場合について得る自然な方法の1つは、うまく取り扱うことが出来るM/D/mD/M/mM/M/mのケースから内挿することである(Cosmetatos 1982、Page 1982)。これの興味深い変化形もまた近年Kimura (1986)によって提案された。これらの近似は明らかにc_a^2{\le}1かつc_s^2{\le}1であるようなGI/G/mモデルを主に対象にしている。というのはこれらはc_a^2>1またはc_s^2>1の時に非常に悪い(負の)近似をもたらすことがあるからである。c_a^2またはc_s^2が大きい時に高い精度は可能でないかもしれないが、私の目標は全ての範囲にわたって適切な値をもたらすことである。
 このアイディアは最初にc_a^2=c_s^2の場合に集中し、次にc_a^2>c_s^2c_s^2>c_a^2の場合を扱うことである。c_a^2{\ge}1c_s^2{\ge}1c_a^2c_s^2の値が近い場合、古い近似(2.14)は適切であるので、これをc_a^2=c_s^2{\ge}1の場合に用いる。c_a^2=c_s^2<1の場合は、数値計算値が、近似式(2.14)が大きすぎることを明らかに示している。私はさまざまな方法を試し、最終的にM/D/mモデルとD/M/mモデルにおけるEWのすばらしい近似式を単純な仕方で利用することに決めた。c_a^2=c_s^2=0.5の場合、私はM/D/mD/M/mの間を線形補間し、他の場合には修正関数によって滑らかな曲線に合わせた。

  • \phi_4(m,\rho)=\min\{1,(\phi_1(m,\rho)+\phi_3(m,\rho))/2\}・・・・(2.21)

  •  \Psi(c^2,m,\rho)=\{{1,\text{               c^2{\ge}1}\atop{\phi_4(m,\rho)^{2(1-c^2)}},\text{ 0{\le}c^2{\le}1}}・・・・(2.22)

c_a^2=c_s^2=c^2の場合、

  • EW(\rho,c^2,c^2,m)\approx\Psi(c^2,m,\rho)\left(\frac{c_a^2+c_s^2}{2}\right)EW(M/M/m)・・・・(2.23)

としよう。表6は興味のある主要なモデルであるE_2/E_2/mモデルについてのこの手続きの結果を含んでいる。近似はmが大きくて\rhoが小さい領域を除いて明らかにすばらしい。この領域については実際の値は無視出来る傾向にある。
 さて私は、(2.23)で決定された[(c_a^2+c_s^2)/2,(c_a^2+c_s^2)/2]のケースについての近似を修正することによって、c_a^2\neq{c}_s^2であるような c_a^2,c_s^2のペアの一般的なケースを扱う。このために、(2.19)のEW(M/D/m)の修正因子\phi_1(m,\rho)と(2.26)のEW(D/M/m)の修正因子\phi_3(m,\rho)から出発し、合致の度合いを改善するためにこれらを修正した。最終近似式は

  • EW(\rho,c_a^2,c_s^2,m)\approx\phi(\rho,c_a^2,c_s^2,m)\left(\frac{c_a^2+c_s^2}{2}\right)EW(M/M/m)・・・・(2.24)

ただし

  • \phi(\rho,c_a^2,c_s^2,m)
    •  =\{{\left(\frac{4(c_a^2-c_s^2)}{4c_a^23-3c_s^2}\right)\phi_1(m,\rho)+\left(\frac{c_s^2}{4c_a^2-3c_s^2}\right)\Psi((c_a^2+c_s^2)/2,m,\rho),\text{    c_a^2{\ge}c_s^2}\atop{\left(\frac{c_s^2-c_a^2}{2c_a^2+2c_s^2}\right)\phi_3(m,\rho)+\left(\frac{c_s^2+3c_a^2}{2c_a^2+2c_s^2}\right)\Psi((c_a^2+c_s^2)/2,m\rho),\text{      c_a^2{\le}c_s^2}}・・・・(2.25)

ただし\Psi(c^2,m,\rho)は(2.22)のもの。c_a^2=c_s^2の時(2.25)の\phiは(2.22)の\Psiに簡略化されるので(2.24)は(2.23)に一致することに注意しよう。また(2.25)の\phic_s^2=0の時\phi_1に、c_a^2=0の時\phi_3に簡略化される。よって(2.24)はセクション2.5でのEW(M/D/m)EW(D/M/m)の近似と一致する。公式(2.24)はまたパラメータ(\rho,c_a^2,c_s^2)の連続関数でもある。逆問題として、\rhoかまたはc_a^2+c_s^2だけを変更することにより(2.24)のEWによって任意の正の数を実現することが出来る。