Whitt教授の「Approxomations for the GI/G/m queue」の翻訳(23)

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3.5. 数値比較
 ここでこの待ち確率の近似を正確な値と比較する(表14〜22)。これらの数値比較は、新しい近似式(3.9)は際立ってよく機能することを示している。ざっと概観するために、m=4かつ\rho=0.90という特殊な場合におけるいくつかのGI/G/mモデルについて新しい近似と正確な値と比較した(表14)。新しい近似は正確なM/M/m公式より明らかにずっとよいが、M/M/m公式であっても大部分のケースで適切である。
 軽負荷において顕著な相対誤差がある。軽負荷における精度は大部分の応用においてそれほど主要な実践的な重要性がないので、\rho<0.50の場合はテストを行わず、私は軽負荷法を利用しようとしなかった。しかし、これは将来の研究において有望な方向であり続ける。軽負荷においてはパラメータc_a^2c_s^2で提供される部分的情報と整合が取れている正確な値の範囲は大きくて、部分的に指定するモデルにとって(相対誤差の判断尺度を用いた)正確な近似を不可能にする。Whitt (1984)の定理1と2によれば、GI/M/1モデルにおいて最大相対誤差は少なくともc_a^2/(1+c_a^2)\rhoである。\rho=0.5かつc_a^2=1の時はそれは100%であり、\rho=0.1かつc_a^2=1の時は500%である。
 現実のシステムでの\rhoの典型的なレベルはmが増加するとともに急速に増加する(Whitt 1992)。例えば、\rho=0.50であるM/M/20システムでの待ちの確率は無視出来る(0.0037)。\rho=0.90であるM/M/20システムは\rho=0.70であるM/M/2システムよりも混雑が少ない。すなわち\rho=0.90であるM/M/20システムではEW=0.28P(W>0)=0.55であるが、\rho=0.70であるM/M/2システムではEW=0.96P(W>0)=0.58である。
 M/M/mモデルにおけるP(W>0)について(2.10)のHalf-Whitt近似と(2.11)の正規近似[これは(3.11)の\pi_6と一致する]と正確な値を比較する(表13)。(mが大きくて\rhoが小さい場合を除いて)大部分の場合、Half-Whitt近似(2.10)は(3.11)の\pi_4\pi_5の中の正確なM/M/m公式EW(M/M/m)に無理なく代入することが出来る。この目的で(2.10)をさらに改善することは難しくはないだろう。もちろん最終近似(3.9)はM/M/mモデルについて正確な値を作り出す。
 次に近似値をKuihn (1976)によるさまざまなGI/M/mモデルの、特にD/M/mc_a^2=2.25でバランスのとれた平均をもつH_2/M/mの、正確な値と比較する(表15と16)。新しい近似(3.9)のほかに直接Half-Whitt近似(3.2)とLB率(3.4)と正規近似(3.5)を示す。(3.9)はGI/M/mの場合(3.7)に一致する。新しい近似(3.9)はmが大きくてかつ\rhoが小さい場合を除いてLB率に一致する。それらはm{\ge}8かつ\rho{\le}0.80の時とm=100かつ\rho=0.90の時のみ異なる(表15)。これらの場合、新しい近似(3.9)はLB率(3.4)より明らかにずっとよい。
 私はすでにいくつかのM/G/mの値について近似を正確な値と比較したが、表は省略した。これらの場合近似は、正確なM/M/mの値(2.3)である。その結果はM/M/m公式は他のM/G/mモデルについてのよい近似式であることを確かめている。


表16
c_a^2=2.25であるようなH_2/M/mモデル(バランスのとれた平均を持った超指数到着間隔時間分布)における待ち確率P(W>0)の近似とKuihn (1976)による正確な値の比較