せんぐう館

今年の4月14日のところ(度会大国玉比賣神社と伊我理神社)に書きましたように、今年4月に伊勢神宮外宮の宮域にオープンした博物館「せんぐう館」はどうも私の心にしっくりきませんでした。

しかしそれは当日はオープン直後で人手が多くて落ち着いて見ることが出来なかったためではないかと思い直し、もう一度行ってみました。


結果は、やはり、どうもしっくりしなかったです。自然の恵みといったエコな内容を液晶画面で空調の効いた室内で見ることがどこか矛盾している気がするし、液晶画面を多用した展示が、神道的な慎み深さにどこかで欠けているような気がするのです。どこがどう、と具体的に指摘するのは難しいのですが・・・。


あるいはそれは私個人の勝手な感想に過ぎないのかもしれません。私は、気難し屋のように変なことで気にさわってしまいます。たとえば、


せんぐう館の入口ですが、一度この橋を渡らなければ入ることが出来ません。しかし、この橋は俗界と神域を分ける(あるいは橋渡す)境であると(信仰的には)考えられます。そうするとせんぐう館に入るには神域に入るぞ、という心構えがまず必要になる、と私なんかは思ってしまうのです。ところが、入口に進むにはもう一度、この川を渡り、俗界側に出なければなりません。せんぐう館は俗界側にあるのです。ならば最初から俗界側から入口に進めるような道を作っておけばよいと思うのですが、そうなっていません。一旦、橋(火除橋:ひよけばし と言います)を渡ってからでないとこの入口に到達できないようになっています。こういうことは私には神域の結界を乱すものに思え、配慮が足りない、と感じてしまうのです。


展示内容は、神宝や社殿を作る伝統の工の技の紹介を中心においていて、それは貴重な展示だと思うのですが・・・。自分でもなんでこんなにズレを感じてしまうのだろうか、と、少し悲しい気がします。