平均待ち行列長の近似式の精度比較(11)

平均待ち行列長の近似式の精度比較(10)」の続きです。
次に、c_a\neq{1}の一例としてD/M/s待ち行列について、平均待ち行列L_qに関する2組の近似式、

  • c_a{\le}1の時
    • L_q(GI/G/s)=\frac{c_a^2+c_e^2(u+(1-u)c_a^2)}{2}\frac{u^{\sqrt{2(s+1)}}}{1-u}・・・・(8)
  • c_a>1の時
    • L_q(GI/G/s)=\frac{c_a^2+c_e^2}{2}\frac{u^{\sqrt{2(s+1)}}}{1-u}・・・・(9)

  • c_a{\le}1の時
    • L_q(GI/G/s)=\frac{c_a^2+c_e^2(u+(1-u)c_a^2)}{2}\frac{u^2}{2(1-u)}\left[u^{\sqrt{2(s+1)}-2}+b^{\sqrt{2(s+1)}-2}\right]・・・・(61)
  • c_a>1の時
    • L_q(GI/G/s)=\frac{c_a^2+c_e^2}{2}\frac{u^2}{2(1-u)}\left[u^{\sqrt{2(s+1)}-2}+b^{\sqrt{2(s+1)}-2}\right]・・・・(62)

の精度の比較をします。式(8)(9)(この場合はc_a=0なので式(8))による近似値を「近似1」で、式(61)(62)(同じく式(61)が採用される)による近似値を「近似2」で示しました。「差1」「差2」それぞれと正確な値との差です。正確な値はWhitt教授の論文「Approxomations for the GI/G/m queue」の表2(「Whitt教授のApproxomations for the GI/G/m queue」の翻訳(12)」参照)から引用しました。


上の表で誤差の絶対値が0.5以上になるところは紫色に塗って示しました。この表から、式(61)(62)のほうが式(8)(9)より精度が高いことが分かります。