毎日、寒いので・・・・
毎日、寒いので、現実逃避です。タヒチの画像を見て、温かい(暑い?)世界を想像しています。
古い話で恐縮ですが、マオリ族の血をひく人類学者ピーター・バックの1938年の本「日の出のヴァイキング」によれば、ポリネシアの人々はここタヒチから太平洋の各地へ拡散していったということです。北はハワイまで、南はニュージーランドまで。そういえば、ハワイに伝わる神話・伝説では海の向こうにある「カヒキ」という土地が登場するのを思い出しました。「カヒキ」というのは「タヒチ」のことです。
ハワイの火山の女神、恐るべきペレも、タヒチからやってきました。
ポリネシアの伝説に登場する英雄ラタは、父を害した敵に復讐するためにカヌーが必要でした。それも大勢の兵士たちが乗れるような大きなカヌーが必要でした。そしてそのカヌーを作るための大きな木が必要でした。
「お母さんはね、森の中でトタラという立派な樹を見たよ。明日になったらおまえは森に行ってその樹を見なくちゃいけないよ」と、いった。
それは息子のラタが自分の仕事を完遂するためにしなくてはならないことを暗示する母親のやり方だった。堂々たる立派なトタラの樹といえば、堂々たる立派なカヌーがつくれるということだったからだ。
さて、ラタが何度も樹を切り倒しても翌朝になるとその樹が元通りになっていた、と、この話は続きます。この話は以前「木本祭(このもとさい)とラタ」で紹介しました。樹が元通りになっていたのは、ラタが樹を切るまえに森の神々に許しを請わなかったからでした。ラタはそれを森の昆虫たちに指摘されて始めて自分の過ちに気づいたのでした。
私の話はとりとめもなく、ラタの祖父であるタファキに移ります。タファキについては前述の本の「訳者ノート」というところに気になる記述があります。その記述はリチャード・テイラーという人の「テ・イカ・マウイ(マウイの魚)」という本に出てくるのだそうです。
タファキは呪言にうつつをぬかし、おのれの血に池の水の血、星の血、それからどんな血を混ぜたのか? 月の血、日の血、ランギ・マフクの血だ。流れ出ているのはタファキの血だ。この血でタファキは生き返ったのだ。
なんとも不気味な言葉の連なりです。何か呪術的なものを感じます。