GI/G/s待ち行列の平均待ち行列長の近似式(3)
「GI/G/s待ち行列の平均待ち行列長の近似式(2)」のつづきです。
この近似式
- ・・・・(11)
は、そこそこの精度があることが分かりましたが、を計算する必要があります。そしては「GI/G/s待ち行列の平均待ち行列長の近似式(1)」の式(3)(4)で示したように
- ・・・・(3)
- ただし
- ・・・・(4)
で計算します。ところでこの式(4)はが大きくなるとのところの計算が面倒です。そこで、精度は少し犠牲になるのですがを近似的に求める簡便な方法があります。その近似式は逆瀬川氏が提案したもので(An approximation formula Hirotaka Sakasegawa (1977) http://www.ism.ac.jp/editsec/aism/pdf/029_1_0067.pdf 参照)
- ・・・・(24)
というものです。これを用いれば式(11)よりも若干精度は落ちるものの計算がより簡単な以下の近似式を得ることが出来ます。
- ・・・・(25)
実務上はGI/G/s待ち行列の平均待ち行列長の近似式として式(25)を用いたほうが実用的だと思います。
さて、逆瀬川氏のに関する近似式がどのようにして得られたのか、上述のAn approximation formula Hirotaka Sakasegawa (1977)に基づいてご紹介します。
まず、
- ・・・・(26)
がよく知られています。ここからの類推で
- ・・・・(27)
の形で近似できると推定します。ただしはの関数であるとします。このを求めるためにまずをある値に固定し、を0.8から0.01刻みで0.9まで変化させてを式(3)(4)で計算した場合と式(27)で計算した場合の差を求めます。それを2乗しての値の全てについての(つまり0.8から0.01刻みで0.9までの値についての)和を取ります。そしてそれが最小になるようなの値を求めます。これをで表します。このようにしてさまざまなの値に対しての値を求めることが出来ます。その結果が下記の表です。
こうしての関数としてを求めることが出来ましたが、これはまだ数表の形として求められたにすぎません。さらにこのを
- ・・・・(28)
で近似します。この結果は上の表に示すようによい近似になっています。よって式(28)と(27)から式(24)を得ることが出来ます。さらに、多くのとの値について式(28)の計算結果と式(3)(4)の計算結果を比較して、この近似の精度が非常によいことを確かめた、ということです。