では、「バッチ装置の待ち行列の解析(6)」で求めた「なりゆきバッチルール」の場合のジョブの平均待ち時間の式
- ・・・・(46)
- ただし
- ・・・・(36)
を、一般の到着間隔分布、一般の処理時間分布の場合に拡張することを考えます。
私が最初に考えたのは、GI/G/1待ち行列における平均待ち時間のKingmanの近似式
- ・・・・(52)
とM/M/1におけるM/M/1待ち行列の平均待ち時間の式
- ・・・・(53)
の対比から、M/M/1の場合の平均待ち時間をと表わした時、GI/G/1の場合の平均待ち時間が
- ・・・・(53)
と書けることです。私はこの類推として式(46)に
を掛けて出来た
という近似式を考えました。しかし、この近似式には根拠がないことが分かりました。というのは式(52)の根拠のひとつは重負荷極限定理(「重負荷極限定理」の式(1)参照)
- ・・・・(54)
です。実際に、式(52)から
- ・・・・(55)
なので
- ・・・・(56)
となり
- ・・・・(57)
なので、式(54)が成り立ちます。
ところが2ジョブバッチ、「なりゆきバッチルール」の場合、式(54)が成り立ちません。そのことを確かめます。ポアソン到着、指数分布処理時間の2ジョブバッチ、「なりゆきバッチルール」の場合の平均待ち行列長は「バッチ装置の待ち行列の解析(6)」の式(43)ですでに求められていて
- ・・・・(43)
でした。よって
- ・・・・(58)
となります。になると式(36)からになります。よって
となります。
- ・・・・(59)
のほうはこの形のままでは0/0になって値が分かりません。そこで式(59)に(36)を代入して変形していきます。
よって式(59)はで3/2に近づきます。よって
- ・・・・(60)
になります。しかしもし式(54)が成り立つとすると、今考えているのは、の場合なので式(54)の右辺は1になり、式(60)の3/2と一致しません。よって式(54)は成り立ちません。よって上に私が提案した近似式も根拠がないことになります。