工場運用

バッチ装置の待ち行列の解析(18)

「バッチ装置の待ち行列の解析(7)」で求めたバッチサイズ2ジョブの「なりゆきバッチルール」のM/M/1の装置の占有率をバッチサイズジョブの場合に拡張しておきます。「バッチ装置の待ち行列の解析(7)」の式(47) ・・・・(47) はバッチサイズジョブの場…

バッチ装置の待ち行列の解析(17)

では今回はバッチサイズが6ジョブの場合の「必ずバッチルール」と「なりゆきバッチルール」の両方についてジョブの平均待ち時間を、いくつかの場合について比較してみます。「なりゆきバッチルール」での平均待ち時間を求めるためにはの値を求める必要があ…

バッチ装置の待ち行列の解析(16)

バッチサイズ3ジョブの時の定常状態確率が ・・・・(110) ・・・・(111) ただしは ・・・・(107) の解 と求まったので、次はの計算に進みます。 ・・・・(41) (「バッチ装置の待ち行列の解析(6)」参照)です。式(41)の右辺は となりますので ・・・・(1…

バッチ装置の待ち行列の解析(15)

いきなりバッチサイズジョブのM/M/1の場合の平均待ち行列長を求めるのは難しそうなので、まずバッチサイズ3ジョブの場合について考えてみます。「バッチ装置の待ち行列の解析(4)」の時と同じように状態を以下のように定義します。 待ちジョブ数が0の場…

バッチ装置の待ち行列の解析(14)

では、いままの考察を3ジョブ以上のバッチの場合に拡張することを検討します。まず、「バッチ装置の待ち行列の解析(10)」で考察した2ジョブバッチ、「なりゆきバッチルール」の場合の重負荷極限定理が容易に拡張できます。ジョブで1バッチの場合を考…

バッチ装置の待ち行列の解析(13)

では、GI/G/1の場合、「バッチ装置の待ち行列の解析(7)」で示した グラフ3 や「バッチ装置の待ち行列の解析(8)」で示した グラフ4 はどのようになるでしょうか? はたしてGI/G/1の場合もM/M/1と同じカーブを示すでしょうか? それとも変化するでしょ…

バッチ装置の待ち行列の解析(12)

両方のバッチ構成ルールについてジョブの平均待ち時間が(近似的に)求められたので、いくつかの場合について両者の比較をします。 まず、、(M/M/1など)の場合です。 次に、、(M/D/1など)の場合です。 次に、、(D/M/1など)の場合です。 次に、、の場合…

バッチ装置の待ち行列の解析(11)

2ジョブバッチ、「なりゆきバッチルール」の場合の重負荷極限定理 ・・・・(82) を元に2ジョブ、「なりゆきバッチルール」で一般到着間隔分布、一般処理時間分布の場合の平均待ち行列長の近似式を求めたいと思います。通常の、一度に1ジョブだけ処理する…

バッチ装置の待ち行列の解析(10)

「バッチ装置の待ち行列の解析(9)」のつづきです。ここから先に進むためには、2ジョブバッチ、「なりゆきバッチルール」の場合の重負荷極限定理を導き出す必要があります。「重負荷極限定理(1)〜(2)」の考察に沿って、2ジョブバッチ、「なりゆき…

バッチ装置の待ち行列の解析(9)

では、「バッチ装置の待ち行列の解析(6)」で求めた「なりゆきバッチルール」の場合のジョブの平均待ち時間の式 ・・・・(46) ただし ・・・・(36) を、一般の到着間隔分布、一般の処理時間分布の場合に拡張することを考えます。 私が最初に考えたのは、G…

バッチ装置の待ち行列の解析(8)

さて「なりゆきバッチルール」の場合で、1回の処理で処理するジョブ数の平均値(処理時平均処理ジョブ数)をで表わすことにします。任意の時点で処理中のジョブ数の平均値は、に装置の占有率を掛けたものになります。つまりになります。一方、「必ずバッチ…

バッチ装置の待ち行列の解析(7)

グラフ2 「バッチ装置の待ち行列の解析(6)」で得た上のグラフは、なかなか興味深いです。このグラフを見ていると、では装置の処理時間の分布が指数分布でない場合はどうなるのか、たとえば処理時間が一定の場合にはどうなるのか、とか疑問が湧いてきます…

バッチ装置の待ち行列の解析(6)

「バッチ装置の待ち行列の解析(5)」では状態の定常状態確率が ・・・・(39) ・・・・(40) ただし ・・・・(36) というふうに求まりました。これからジョブの平均待ち時間を求めてみます。まず、平均待ち行列長を求め、その次にリトルの法則を用いて平均待…

バッチ装置の待ち行列の解析(5)

「バッチ装置の待ち行列の解析(4)」で平衡方程式 ・・・・(17) ・・・・(18) ・・・・(19) を得ることが出来ました。では、これを解くことを考えます。まず、(17)を(18)の右辺に代入すると よって ・・・・(20) となります。式(19)でとすると ・・・・(21…

バッチ装置の待ち行列の解析(4)

次に 装置が空いている時に1ジョブ到着した場合は、1ジョブで処理を開始する。処理が完了した時に1ジョブしか待っていない場合は、1ジョブで処理を開始する。処理が完了した時に2ジョブ以上ある場合は、2ジョブで処理を開始する。 というバッチ構成ル…

バッチ装置の待ち行列の解析(3)

ここでは、「バッチ装置の待ち行列の解析(1)」の式(6) ・・・・(6) をnジョブのバッチの場合に拡張することを検討します。装置は1台に限定します。バッチ構成ルールは ジョブがn個そろうまで装置が空いていても処理を開始しない。処理は必ずnジョブで…

バッチ装置の待ち行列の解析(2)

「バッチ装置の待ち行列の解析(1)」の式(6) ・・・・(6) をグラフ化してみます。式(6)の両辺をで割って、装置稼働率と平均待ち時間/平均処理時間の関係をグラフ化しました。それを以下に示します。ただしここでは、ジョブの到着としてポアソン到着を、装…

バッチ装置の待ち行列の解析(1)

これからしばらくバッチ装置の待ち行列について考察してみたいと思います。まず、簡単なバッチ装置から考察します。図1 図1 にあるような、1台の装置でジョブを2つまで一度に処理出来る装置があるとします。この装置では1ジョブで処理しても2ジョブで…

最近、考えていること

あまり考えがまとまっていないが、最近、Factory Physics Factory Physics作者: Wallace J. Hopp,Mark L. Spearman出版社/メーカー: Waveland Pr Inc発売日: 2011/06/01メディア: ハードカバー クリック: 1回この商品を含むブログを見る を読み直していて、…

生産コストだけに注目すると危ないかも

ひさしぶりの「工場運用」ネタです。ここに、1個50,000円で売る商品が、AとBの2つがあるとします。Aを1個作るための原材料費は40,000円だったとします。そしてBを1個作るための原材料費は45,000円だとします。そして、問題を簡単…

待ち時間制約(3)

「待ち時間制約(2)」の式(7) ・・・・(7) を用いて、例題を想定し、それを解いてみましょう。式(7)をグラフにしたものを以下に示します。 横軸にはの代わりにを採りました。つまり、処理時間の何倍かを示す数字です。縦軸は累積確率です。このグラフは装…

待ち時間制約(2)

「待ち時間制約(1)」の続きです。 さて、ジョブがM/M/1待ち行列システムに到着した時、システム内にこのジョブを含めなくて個のジョブがある確率は、「M/M/1待ち行列の特性」から ・・・・(1) です。今、到着したジョブは個のジョブが処理終了…

待ち時間制約(1)

今度は、「ISSM2011」のエントリで取り上げたQuantify Equipment Capacity Impacts induced by Maximum Waiting Time Constraint through Simulation(最大待ち時間制約がもたらす装置キャパシティへの影響のシミュレーションによる定量化)について、待ち行…

停止は小まめに短く

故障率5%の装置がA、B、2台あるとします。装置Aは平均19時間正常に動いて平均1時間止まります。装置Bは平均38時間正常に動いて平均2時間止まります。 装置Aは、平均20時間(19時間+1時間)の間に平均1時間止まるので確かに故障率5%で…

こまめに運ぶと良い場合がある

これについては「Factory Physics」という本に印象深いお話が載っています。この本の著者(2名)は工場運用のコンサルタントをしているのですが、ある時、ある組立工場の見学をしたということです。そこでその工場の案内役が得々として、最近の改善事例を説…

変動が待ちを、そして仕掛をもたらす

「工場にはボトルネックが1つ存在する(1)」のところで、 工場統計力学は、複雑な生産現場の振る舞いを近似的にでも理解するために、いくつかのモデルを提供することを目指しています。 と書きました。今日、ご紹介する下の図は、生産現場の振る舞いを表…

仕掛量=期間×アウトプット

このタイトルは「リトルの法則」のことを意味しています。工場での製品の製作期間と単位時間あたりの生産量をかけ合わせると、工場内にある製品の量(=仕掛量)になる、というのがリトルの法則です。 この図では省略していますが、横軸が時間を表しています…

工場にはボトルネックが1つ存在する(2)

この図にはもう一つ使い道があります。それは下図に示すように ボトルネックをムダに使っているかどうか反省するきっかけになるということです。 ボトルネック工程が工場の生産量を決めているのでした。(ただし、これは作っただけ製品が売れるという状況に…

工場にはボトルネックが1つ存在する(1)

工場統計力学は、複雑な生産現場の振る舞いを近似的にでも理解するために、いくつかのモデルを提供することを目指しています。モデルというのは現実の一面を取り出して組立てたものです。現実に比べれば極めて単純です。もちろん、モデルの振る舞いは現実の…