バッチ装置の待ち行列の解析(17)

では今回はバッチサイズが6ジョブの場合の「必ずバッチルール」と「なりゆきバッチルール」の両方についてジョブの平均待ち時間を、いくつかの場合について比較してみます。「なりゆきバッチルール」での平均待ち時間を求めるためにはaの値を求める必要があります。aは「[バッチ装置の待ち行列の解析(16)]」の式(120)

    • \Bigsum_{k=1}^nu^{k-1}a^k-n=0・・・・(120)

n=6とした次の方程式の解になります。

  • u^5a^6+u^4a^5+u^3a^4+u^2a^3+ua^2+a-6=0・・・・(124)

この方程式を解析的に解くのは困難なので数値計算で近似値を求めました。その結果を以下のグラフに示します。


このaの値を用いて「なりゆきバッチルール」での平均待ち時間をいろいろなケースについて求めました。まず、c_a=1c_e=1(M/M/1など)の場合です。


次に、c_a=1c_e=0(M/D/1など)の場合です。


次に、c_a=0c_e=1(D/M/1など)の場合です。


次に、c_a=1c_e=2の場合です。


最後に、c_a=2c_e=1の場合です。


バッチサイズ6ジョブの場合も、c_a{\le}1かつc_e{\le}1の場合は、全ての稼働率において「なりゆきバッチルール」は「必ずバッチルール」より小さい平均待ち時間かほぼ同等の平均待ち時間のようです。c_a>1またはc_e>1、つまり、到着間隔や処理時間の変動が激しい場合は、稼働率が高い場合に、「必ずバッチルール」の方が「なりゆきバッチルール」よりも平均待ち時間が少ない場合が存在します。