三番叟(さんばそう)に出会った(つづき)

三番叟(さんばそう)に出会った。」で書いた3体の人形、それぞれが、伊勢神宮春日大社八幡大菩薩、の使者であるという3体の人形について何か分からないかと以前読んだ中沢新一の「精霊の王」をまた図書館から借りてきて調べたところ、関係のありそうな記述があった。(ところで私はこの本の内容をあまり理解できない。)

 たとえば、十六世紀の後半に書かれたと推定される観世座の口伝書『八帖花伝書』は、猿楽自体が低迷期に入り始めた時期に、危機感にかられた観世座の誰かが、やむにやまれぬ思いで秘密をうち明けたという性格の書物であるが、そこには「翁」に関しての、いくつもの興味深い内容が素直に書きつけてある。

一 大和四座は、申楽と書ひたり。
近江さるがくをば、猿といふ字を書いたり。日吉の使者、猿なるが故に、此を知らすとなり。
  大和申楽の次第を申に、
 一 第二 天照大神  翁舞  連ぬし殿
 一 第一 八幡大菩薩 千歳  鈴太夫殿
 一 第三 春日大明神 三番  神楽太夫殿


中沢新一著「精霊の王」の「第一章 謎の宿神」より

これが何を意味するのかまったく分からないが、気になるのでここにメモしておく。それにしても天照大神に対応するのが翁舞だとすると、私が見た天照大神の使者という人形は翁らしくなく若い男のようなのは、どう解釈したらよいのだろう。