ホップフィールドネットワーク(2)

  • 図1


今後、エネルギーE

  • E=-\frac{1}{2}\Bigsum_{i=1}^n\Bigsum_{j=1}^ns_{ij}x_ix_j・・・・(4)

(「ホップフィールドネットワーク理解に向けての準備体操(5)」の式(7)参照)を計算していきますが、今回の例ではn=35なのでまともに計算すると結構大変なことになります。というのは式(4)でのij1から35まで変更するので、右辺の項の数は35×35=1225個もあるからです。これをいちいち計算するのは大変です。それに本当の応用になるとニューロン数が何千にもなります。そこで、エネルギーEを簡単に計算する方法を考えます。ここで考えるのは、

  • s_{ij}=\left\{\begin{array}X_iX_j&\;&(i\neq{j})\\0&\;&(i=j)\end{array}・・・・(1)

に限定した場合の方法です。式(4)に(1)を代入すると

  • E=-\frac{1}{2}\Bigsum_{i=1}^n\Bigsum_{j=1,i\neq{j}}^nX_iX_jx_ix_j・・・・(5)

となります。この時、x_i=X_iであるようなニューロンの個数をmとしましょう。するとX_ix_iも−1か1の値しかとらないので、m個のiについてX_ix_i=1となります。残りのn-m個のiについてはX_ix_i=-1になります。

  • X_iX_jx_ix_j=1となるようなijの組合せはX_ix_i=1かつX_jx_j=1の場合と、X_ix_i=-1かつX_jx_j=-1の場合があります。
    • X_ix_i=1かつX_jx_j=1であるようなijの組合せの数はm^2個となりますが、i=jの時を除外しないといけないので実際にはm^2-m個になります。
    • X_ix_i=-1かつX_jx_j=-1であるようなijの組合せの数は同様に考えて(n-m)^2-(n-m)個となります。
    • よってm^2-m+(n-m)^2-(n-m)個の1が式(5)の右辺に存在します。
  • 次に、X_iX_jx_ix_j=-1となるようなijの組合せはX_ix_i=1かつX_jx_j=-1の場合と、X_ix_i=-1かつX_jx_j=1の場合があります。
    • X_ix_i=1かつX_jx_j=-1であるようなijの組合せの数はm(n-m)個となります。
    • X_ix_i=-1かつX_jx_j=1であるようなijの組合せの数もm(n-m)個となります。
    • よって2m(n-m)個の−1が式(5)の右辺に存在します。

よって

  • \Bigsum_{j=1,i\neq{j}}^nX_iX_jx_ix_j=\left[m^2-m+(n-m)^2-(n-m)\right]-2m(n-m)
    • =m^2-m+n^2-2nm+m^2-n+m-2nm+2m^2
    • =2m^2+n^2-2nm-n-2nm+2m^2
    • =4m^2-4nm+n^2-n=4m^2-4nm+n(n-1)

よって

  • \Bigsum_{j=1,i\neq{j}}^nX_iX_jx_ix_j=4m^2-4nm+n(n-1)・・・・(6)

式(6)を(5)に代入して

  • E=-2m^2+2nm-\frac{n(n-1)}{2}・・・・(7)

となります。式(7)を変形して

  • E=-2\left(m-\frac{n}{2}\right)^2+\frac{n^2}{2}-\frac{n(n-1)}{2}

よって

  • E=-2\left(m-\frac{n}{2}\right)^2+\frac{n}{2}・・・・(8)

となります。

  • グラフ1


n=35の時のmEの関係をグラフにすると左のようになります。