「サイバネティックス」からの抜き書き
・・・われわれは、通信工学における設計の問題から、統計力学の一分野と見られる一つの統計的な科学をつくりあげることとなった。・・・通信工学の場合には統計的要素のもつ意義は一見して明らかである。すなわち情報を送るということは、二つのことがら(yesかno)のなかのどちらか一つを送るというこよによって成り立つ。・・・
通信工学をこのような立場から把握するには、「情報量」なるものについての統計的な理論を発展させなければならなかった。この理論では、同等に確からしい二つのことがらから、そのうちの一つを1回選択するときに伝えられる情報の量を情報量の単位とする。この着想は、統計学者フィッシャー(R.A.Fisher)*1、ベル電話研究所のシャノン(Shannon)博士、および私を含む数人の研究者がほとんど同時に考えついたものである。
ウィーナー「サイバネティックス」の「序章」より
ウィーナー サイバネティックス――動物と機械における制御と通信 (岩波文庫)
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最近、
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という本を読んでいますが、その中で「現代統計学の父」としてのロナルド・A・フィッシャーの業績が強調されていました。それを読んで、どこかで聞いた名前だと思っていたのですが、サイバネティックスに出ているのを見つけました。それも、誰が情報量の概念を発見したか、という微妙な問題に関連してです。普通、情報量はシャノンが提案したものとなっていますが、ウィーナーも自分が独自に思いついたと主張していました。
*1:強調は私