知識の構造化

昔、マルグリット・ユルスナールの「ハドリアヌス帝の回想」を読んで感銘を受けた時、この本の注釈にいいようのない魅力を感じました。それは、まったく別世界へ、この場合は1800年前の古代ローマへ、その頃の知識人の常識の中へ、入り込んだ、という魅力でした。それで、この注釈(特に人名の注釈)をもっと充実することを試みたことがあります。具体的には、この小説を最初のページから読んでいって、登場する人物を片端から記録し、その人物についてどこのどんな場面でどういうことをしたのか、書こうとしたのです。しかし、当時(20年以上前)はExcelさえも使わず、手書きでやろうとしたので今から思えば無謀なことでした。当然、頓挫してしまいました。
それでも次には、ハドリアヌス帝の2代あとになるマルクス・アウレリウス帝の自省録ならば、本が薄いので、何とかなるかな、と思ってやはり挫折しました。やりたかったことは、その時代の人の関心のある人名を知りたかったということです。そこには、ソクラテスやアリステイデスなどのような現代の我々にとっても彼らにとっても歴史上の人物もいれば、我々にはもうなじみのないその時代だけ関心を持たれた人物もいるわけで、なぜか私はそれがとても知りたかったのです。
今回ブログを始めて思いついたのは、このようなことはウェブを使えば出来るのではないか、ということです。毎日、1項目(1名)ずつ書いていき、相互にリンクを張ったり、いつか人名一覧を作ってそこからリンクを張って参照すれば、そのようなものが徐々に出来上がってくるのかな、と思いました。しかし、それはWikipediaでやった方がいいのかな、とも思いましたが。(「マルクス・アウレーリウスの「自省録」に登場する人名」で始めました。)