一年を終えるに当たって
メドーンがアテーナイ王だった頃、既に「イーリアス」「オデュッセイア」で名声をはせていたホメーロスがアテーナイにやってきました。ホメーロスは自作の詩を朗誦しつつ諸国を遍歴していたのでしたが、この折はデルポイからアテーナイにやってきたのでした。そこでメドーン王はホメーロスを歓待しました。ある時市庁舎にいた折のことですが、その日は寒く庁舎の中で火が焚かれているのを見て、ホメーロスは即興で次のような詩を詠じました。
子らは親の冠、国の砦、
馬は野の、船は海の飾り、
国民の集うさまは見るも楽し
しかれども、クロノスの子が雪降らす冬の日に、赤々と
火の燃ゆる館に勝るめでたき眺めなし。この本に併収された「ホメロスとヘロドトスの歌比べ」より
- 作者: ヘシオドス,廣川洋一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1984/01/17
- メディア: 文庫
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新しい年がよい年でありますように。