逆瀬川の近似式からM/M/m待ち行列の状態確率分布を近似する。

  • 注意:下記内容は現在では正しくないと私は判断しております。ただ、将来への参考のために残してあります。(2007/2/11記)
  • 2月1日のChaothonさんのコメントについていろいろ考えることがありました。状態確率分布p_n(ファブに即して言えば、「その装置群の中にnジョブある確率」について、Kingmanの近似式は何も言っていません。Factory Physicsの本の中では状態確率分布について言及しているのはM/M/1の場合のみだったと記憶しています。そこでファブの物流を近似する際、状態確率分布をどのように近似すればよいのか、今後、調べていきたいと思っております。しかし、今は私はこれについて何もよいアイディアを持っておりません。
  • 今日は、Chaothonさんのコメントに触発されて考えたことを紹介します。それは、M/M/mの状態確率分布p_n逆瀬川の近似式を使って近似することです。M/M/mについてはすでに厳密な解を算出する式があるので不必要に思われるかもしれませんが、Excelで計算する際、この近似式を使うと計算式が簡単に書けます。そのためこれをご紹介するのは意味があるのでは、と思いました。
  • 待ち行列の教科書にはM/M/mの待ち行列にジョブがn個ある(待っているジョブだけでなく処理中のジョブも含めてn個ある)確率は、以下のように書けると書いてあります。
    • 0\le{n}\le{m}ならば
      • p_n=p_0m^nu^n\frac{1}{n!}・・・・(1)
    • n\ge{m}ならば
      • p_n=p_0\frac{m^mu^n}{m!}・・・・(2)
    • ただし
      • p_0=\frac{1}{\Bigsum_{i=\0}^{m-\1}({\frac{(mu)^i}{i!}+\frac{(mu)^m}{m!(1-u)})}
  • このp_0を求める式をExcelに書き込む際、面倒を感じると思うのです。そこで、逆瀬川の近似式で紹介しましたように
    • CT_q=\frac{m^{m-1}u^m}{m!(1-u)^2}{p_0}{t_e} が 
    • CT_q=\frac{u^{sqrt{2(m+1)}-1}}{m(1-u)}t_e
  • で近似できるのであれば、両者を等しいとしてp_0で解けば、
    • p_0=\frac{m!u^{sqrt{2(m+1)}-m-1}(1-u)}{m^m}
  • となります。これを式(1)または(2)に代入すれば、待ち行列にジョブがn個ある確率p_nが求まります。
  • ところで上記を求めている過程でおもしろいことを見つけました。p_mつまりm台からなる装置群にちょうどジョブがm個ある確率、つまり全ての装置にジョブがありしかも待っているジョブが1つもない状態の確率、を上記の方法で近似すると
    • p_m=u^{sqrt{2(m+1)}-1}(1-u)
  • になるということです。だから何だ、と言われると何も答えられませんが、式がとてもスッキリしているので背後に何か意味があるのではないかと思い、紹介しました。この背後にはどのような意味があるのか、どなたかご教授いただけませんか?