ジョブのサイクルタイムにおける各状態の割合の推定

  • リトルの法則をめぐってで説明しました半導体ファブ内のロットのサイクルタイム(=TAT)のうちどれだけの割合が保管時間であり、どれだけの時間が、処理時間、あるいは、搬送時間、装置上の待ち時間、であるかの推定を、ある瞬間のWIPにおける個々の状態のロット数の割合によって行う件ですが、以下のようにリトルの法則を用いました。

  • 上の図において1つの横長の長方形がロットを示していると考えて下さい。時間は左から右へ流れます。この長方形は4色に塗り分けられていますが、
    • 黄緑が保管中
    • 黄色が搬送中
    • 紫色が装置上での待ち
    • 青色が装置上で処理中
  • を表しているとします。図では簡略化のために各ロットは4工程(=プロセス・ステップ)ある、としています。これを下の図のように同じ色同士でまとめます。

  • このように変更しても、ラインのWIPスループット、ロットのサイクルタイムは変化しません。
  • この状態で各色(状態)についてリトルの法則を適用します。全ての状態について平均スループットは共通なので、
    • (平均WIP)=(ロットのサイクルタイムの平均)×(平均スループット)・・・・(1)
    • (保管中のロット数の平均)=(1ロットの保管時間の合計の平均)×(平均スループット)・・・・(2)
    • (搬送中のロット数の平均)=(1ロットの搬送時間の合計の平均)×(平均スループット)・・・・(3)
    • (装置上での待ちロット数の平均)=(1ロットの装置上待ち時間の合計の平均)×(平均スループット)・・・・(4)
    • (処理中のロット数の平均)=(1ロットの処理時間の合計の平均)×(平均スループット)・・・・(5)
  • ここで式(2)〜(5)の両辺を式(1)の両辺で割ると、以下の式が得られます。
    • (保管中のロット数の平均)/(平均WIP)=(1ロットの保管時間の合計の平均)/(ロットのサイクルタイムの平均)
    • (搬送中のロット数の平均)/(平均WIP)=(1ロットの搬送時間の合計の平均)/(ロットのサイクルタイムの平均)
    • (装置上で待ち中のロット数の平均)/(平均WIP)=(1ロットの装置上待ち時間の合計の平均)/(ロットのサイクルタイムの平均)
    • (処理中のロット数の平均)/(平均WIP)=(1ロットの処理時間の合計の平均)/(ロットのサイクルタイムの平均)
  • これで、ロットサイクルタイム内の各状態の割合が、WIPにおける各状態のロット数の割合で求まることが分かります。