ハプスブルク家

ハプスブルク家 (講談社現代新書)

ハプスブルク家 (講談社現代新書)

私の本棚の中には数冊の「ハプスブルクもの」とでも分類出来そうな本があります。この本はその最初に買った本です。買った当時(1990年)の動機になりそうなことを思い出せば、まず、思い出すのは1989年のベルリンの壁崩壊です。それがきっかけになって東欧、西欧という従来の分類から突然中欧という分類が現れたのを思い出します。そして中欧とはつまりハプスブルクオーストリア=ハンガリー帝国(KuK)だったのを歴史の知識から急に現代史に(私だけでなく世間が)引っ張り出してきたのがあの頃でした。それから、NHKの特集でやっていた「ヨーロッパ・ピクニック計画」。この首謀者の1人がハプスブルク家の末裔オットー・ハプスブルクだったことをこの特集を見て知り、ハプスブルクおそるべし、と思ったのを思い出します。
 この本のカバーに書いてあった惹句も私を引き付けました。

キリスト教が心なら、ハプスブルク家は背骨である。ヨーロッパという肉体の中心、結婚政策により勢力を保ち続けた名門王朝の歴史を探る

たぶんこれは著者の言葉ではなく出版社がつけたものだと思います。著者はこの本も前書きで同じ事をもう少し丁寧に(正確に)述べています。

ヨーロッパの歴史でキリスト教とならぶもう一つの基本的な構成要素は王朝である。
(中略)
西洋史全体の動向において、ローマ教皇庁とならんでただ一つの王朝だけが、汎ヨーロッパ的な性格と重要性を常に失うことがなかった。ハプスグルク王朝である。

この本はハプスブルク家の歴史を新書のスペースの中にコンパクトにまとめた名著だと思います。
この本に登場して私の印象に残った人物は、

この本には最後の皇帝カールとその妃ツィタ、その子オットーは登場しません。この本を買った当時はまだオットーは生きていました。今も存命なのでしょうか?