「ザ・ゴール」でのバッチサイズ縮小の記述の検討
22日の「バッチサイズ」の最後で宿題にした
- どうしてバッチサイズを半分にすればキュータイムとウエイトタイムも半分になる、と言えるのか?
について、考察を述べます。「ザ・ゴール」と「Factory Physics」とでは用語が異なっています。「ウエイトタイム」はFactory Physicsでは「部品待ち時間」です。
部品待ち時間の短縮
まず、部品待ち時間の短縮について、検討します。部品待ち時間とは、組立工程で組立てられる部品のうちの1つが、組立に必要な他の全ての部品が到着するのを待つ時間です。(半導体ファブでは、まず、このような工程はありません。)バッチで組立工程が処理されるということは、組立に必要な全ての部品の組がバッチ数分そろわなければ組立処理を行わない、ということです。よって、組立工程のバッチサイズが半分になれば、待つべき部品の数も半分になります。前工程から部品が到着する際のバッチサイズも半分になっているとすれば、部品のバッチの到着の頻度は2倍になるので、部品を待つ平均時間は半分になります。これは、全ての部品について半分になるので、部品待ち時間は半分になることが分かります。
キュー時間の短縮(ここではまだ結論が出ません)
キュー時間については、Whittの近似式
で近似することが出来ます。ここで処理時間をバッチでの処理時間と考えると、バッチサイズが半分になれば、装置の平均処理時間も半分になります(装置は、処理時間にオーバーラップのない
装置であるとします。もしオーバーラップのある装置にまで拡張するのであれば、「待ち行列の考察における装置モデルの改善」における議論を参照下さい)。よってもし、
- ・・・・(2)
がバッチサイズを半分にしても同じ値であると仮定するならば、装置の台数と利用率は変わらず、処理時間は半分になるので、バッチサイズを半分にするとキュー時間も半分になる、と言えます。しかし、バッチサイズを半分にした時、ジョブの到着間隔の変動係数や装置処理時間の変動係数は本当に変わらないのでしょうか? これについては
で検討します。