ロットサイズ縮小による利用率の増加

  • セットアップまでの間隔Nsはロットサイズに依存しないか?では、
    • セットアップから次のセットアップまでの平均ロット数N_sはロットサイズに依存する。
  • という結論を出しましたが、ここでは仮にN_sはロットサイズに影響しない とみなして、セットアップ回数が装置の利用率を増やす様子を見てみます。
  • ある装置群(=ステーション)を考えます。この装置群でのウェハで考えたスループットTHとします。また、ロットサイズをkとします。するとロットで考えたスループット\frac{TH}{k}となります。また、ウェハ1枚あたりの処理時間をt_0とします。すると1ロットあたりの処理時間は{k}{t_0}となります。セットアップから次のセットアップまでの平均ロット数はN_sですのでその間の処理時間の合計は{k}{N_s}{t_0}となります。これにさらにセットアップ1回の時間t_sがあります。よって、セットアップ時間と処理時間の合計、すなわち、装置の使用時間は{k}{N_s}{t_0}+t_sとなります。一方、N_s個のロットが到着する時間は{N_s}{k}枚のウェハが到着する時間に等しいので、
    • \frac{{N_s}{k}}{TH}
  • になります。よって装置は
    • \frac{{N_s}{k}}{TH}
  • 時間の間に
    • {k}{N_s}{t_0}+t_s
  • 時間、使用されているので装置の利用率
    • u=\frac{{k}{N_s}{t_0}+t_s}{\frac{{N_s}{k}}{TH}}=\left(\frac{{k}{N_s}{t_0}+t_s}{{N_s}{k}}\right)TH=\left({t_0}+\frac{t_s}{{N_s}{k}}\right)TH={t_0}TH\left(1+\frac{t_s}{{N_s}{k}{t_0}}\right)
  • ここで{t_0}THはセットアップ時間がゼロ、すなわち{t_s}=0の時の利用率です。これをu_0と置きます。そうすると
    • u_0={t_0}TH
  • となります。これを上式に代入すると
    • u={u_0}\left(1+\frac{t_s}{{N_s}{k}{t_0}}\right)・・・・(1)
  • ここから、ロットサイズkが小さくなると、利用率u_0が大きくなることが、そしてその割合はセットアップ時間/処理時間{t_s}/{t_0}が大きいほど、セットアップ間隔N_sが小さいほど大きいことがわかります。
  • 利用率が増加すれば、キュー待ち時間が増加するので、ロットサイズを小さくするとキュー待ち時間が大きくなることが分かります。

議論の継続