理想的な場合のスループットとサイクルタイムの関係(1工程の場合)(つづき)

前日につづき、

上のグラフで、スループットが3ロット/hのところでサイクルタイムが垂直に伸びていることの意味を説明いたします。ここではスループットが3ロット/h(つまり20分に1回ずつロットが装置前に到着する)であり、装置の処理時間も正確に20分です。そうすると、もし待ち時間なしにロットが装置で処理を開始するとしたら、以下のようなガントチャートになります。

このガントチャートから

の点を上記グラフに打つことが出来ます。次に、装置前に常に1ロットが待っている状況を考えることが出来ます。その場合のガントチャートは以下のようになります。常に装置前に1ロット待っていて、それが処理を開始すると同時に次のロットが装置前に到着する、という状況です。この状況をガントチャートに表わすと以下のようになります。

このガントチャートでピンク色はロットが装置が空くのを待っている状態を、青色はロットが装置で処理中の状態を表わしています。このガントチャートから

の点を上記グラフに打つことが出来ます。同様にして、装置前に常に2ロット待っている状況、3ロット待っている状況・・・などもそれぞれ考えることが出来ます。下のガントチャートは2ロット待っている状況を表わしています。

このようにして、スループットは3ロット/hのままで、サイクルタイムがどんどん長くなる状況を想定することが出来ます。
これが、スループットが3ロット/hのところでサイクルタイムが垂直に伸びていることの意味です。

議論の継続

ロットの処理が終わったまさにその時に次のロットが到着する、というのはあまりにも理想論と感じられるかもしれません。これはまさに理想論です。現実の世界では、ロットの処理が終わって、次に処理するロットがなくて装置が空いたり、逆に装置がロットを処理している最中に次のロットが到着したためにそのロットは装置の処理完了を待ったり、する訳です。このような現実に近い話に移る前に、この理想のスループットサイクルタイムの関係を、ステーションが複数台の装置からなる場合や、ステーションが複数あるラインの場合に拡張しようと思います。