理想的な場合のスループットとサイクルタイムの関係(複数台からなるステーション)

理想的な場合のスループットとサイクルタイムの関係(1工程の場合)(つづき)ではステーションが1台の装置からなる場合を扱いましたが、ここではそれを複数台の装置からなる場合に拡張します。
以下の図にあるような2台の装置(#1と#2)からなる1つのステーションを持つラインを考えます。

ロットは1時間に3ロット、つまり20分に1回、規則的に到着するとします。一方、装置は1ロット処理するのに必ず20分かかる、とします。つまり、この装置のキャパシティは3ロット/hです。
これをガントチャートに書いてみると以下のようになります。

前回と同じように、このガントチャートではひとマスが10分を表わしています。また、青色は装置#1での処理を、緑色は装置#2での処理を表わしています。
このガントチャートから分かるように、ロットのサイクルタイムは20分(つまり待ち時間なし)であり、スループットは3ロット/h です。
では、スループットを4ロット/hにするとどうなるでしょうか? 今度は、15分に1回ロットが到着します。するとガントチャートは以下のようになります。

やはりロットのサイクルタイムは20分になります。
では、スループットを6ロット/hにするとどうなるでしょうか? 今度は10分に1回ロットが到着し、2台の装置の利用率は100%になります。

しかしロットのサイクルタイムは20分のままです。これ以上ロットの到着頻度を多くすると、このステーションは、もはや全てのロットを処理することは出来ず、ステーションの前にロットがどんどん溜まることになります。
スループットを6ロット/hにした場合は、以下のようなガントチャートもあり得ます。これは常にステーションの前で1ロット待っている状態です。

この図でピンク色は装置を待っている状態を表わします。この場合のロットのサイクルタイムは30分です。もっとロットが待つ場合も考えられます。

この場合のサイクルタイムは40分です。サイクルタイムが増えてもスループットが6ロット/hのままであることに注意して下さい。
以上のガントチャートから、このラインのスループットサイクルタイムの関係は、以下のグラフのようになります。

このように理想的な場合のスループットサイクルタイムの関係は、装置が1台の場合と同じであることが分かります。