現実的な場合のスループットとサイクルタイムの関係(1)

待ち行列理論の利用」ではステーションが1つだけのラインについて、スループットサイクルタイムの関係を求めましたが、ここではそれを複数のステーションからなるラインの場合に拡張します。「理想的な場合のスループットとサイクルタイムの関係」と似た、以下の図にあるような3つのステーションからなるラインを考えます。

理想的な場合のスループットとサイクルタイムの関係」で示したラインと異なるのは、このラインに投入されるロットの投入の間隔が変動することと、各ステーションの処理時間もまた変動することです(ステーション3の処理時間の変動係数は0なので、ステーション3では処理時間の変動はありません)。それぞれのステーションキャパシティを計算すると、上の図に示すように、

  • ステーション1:4ロット/h
  • ステーション2:3ロット/h
  • ステーション3:6ロット/h

となります。よって「ステーション2」がボトルネック・ステーション(つまりキャパシティが一番小さいステーション)になることは、「理想的な場合のスループットとサイクルタイムの関係」の時と同様です。
さて、ステーション1について、「待ち行列理論の利用」で示した式

を用いれば、このステーションにおけるスループットサイクルタイムの関係が

  • CT=\left[\left(\frac{1^2+1^2}{2}\right)\frac{(TH/4)^{sqrt{6}-1}}{2\{1-(TH/4)\}}+1\right]\times{30}=\left[\frac{(TH/4)^{sqrt{6}-1}}{2\{1-(TH/4)\}}+1\right]\times{30}

となることを導くことが出来ます。これをグラフに示すと、以下のようになります。

次にステーション2について、同様に上の式からこのステーションにおけるスループットサイクルタイムの関係を求めたいのですが、今度はc_a、つまりロットの到着間隔の変動係数が不明です。ステーション2におけるロットの到着間隔の変動係数はステーション1におけるロットの出発間隔変動係数になるわけですから、ステーション1におけるロットの出発間隔の変動係数を求める必要があります。そのためには、「つなぎの式」で紹介したつなぎの式を利用します。(「現実的な場合のスループットとサイクルタイムの関係(2)」に続きます。)