現実的な場合のスループットとサイクルタイムの関係(2)

現実的な場合のスループットとサイクルタイムの関係(1)」の議論をつづけます。

上図のようなラインにおけるスループットサイクルタイムの関係を求めるために、個々のステーションにおけるスループットサイクルタイムの関係を求めようとしているのでした。そしてステーション1についてはすでに求め終わり、今は、ステーション2について求めようとしているのでした。そしてそのためにステーション1におけるロットの出発間隔の変動係数を求めようとしているのでした。ここでつなぎの式

を用います。すると、ステーション1でc_a=1、そしてc_e=1、あるので、この場合はステーション1の利用率uの値にかかわらず、c_d^2=1、よってc_d=1となります。これがステーション2におけるc_aに等しいのですから、ステーション2ではc_a=1となります。ステーション2のc_aが求まりましたので、「現実的な場合のスループットとサイクルタイムの関係(1)」と同様に、式

を用いれば

  • CT=\left[\left(\frac{1+0.64}{2}\right)\left\{\frac{TH/3}{1-(TH/3)}\right\}+1\right]\times{20}=\left\{0.82\frac{TH/3}{1-(TH/3)}+1\right\}\times{20}

のようにスループットサイクルタイムの関係が求まります。これをグラフに示すと、以下のようになります。

次につなぎの式をステーション2に適用すると

  • c_d^2=1+(1-u^2)({c_a}^2-1)+\frac{u^2}{\sqrt{m}}({c_e}^2-1)=1+(0.64-1){u^2}=1-0.36{u^2}

また、ステーション2の利用率uu=TH/3と表すことが出来ますので

  • c_d^2=1-0.36(TH/3)=1-0.12TH

となります。これがステーション3のc_a^2になります。今度はスループットの値によってステーション3でのc_aの値が変化することに注意して下さい。ステーション3に、式

  • CT=\left[\left(\frac{c_a^2+c_e^2}{2}\right)\frac{(TH/TH_{max})^{sqrt{2(m+1)}-1}}{m\{1-(TH/TH_{max})\}}+1\right]t_e

を適用して

  • CT=\left[\left(\frac{1-0.12TH}{2}\right)\frac{(TH/6)}{\{1-(TH/6)\}}+1\right]\times{10}

のようにスループットサイクルタイムの関係が求まります。これをグラフに示すと、以下のようになります。

上のグラフで、スループットを3ロット/hのところまでしか示さなかったのは、ステーション2で3ロット/hまでしかスループットが大きくなれないためです。
これでステーション1,2,3のスループットサイクルタイムの関係が求まりました。そこで、これらのサイクルタイムを合計することでライン全体のサイクルタイムを求めることが出来ます。それは以下ののグラフのようになります。

以上の結果をもとに「サイクルタイム短縮のためには」でサイクルタイムを短縮する方法について考えてみます。