サイクルタイム短縮のためには

現実的な場合のスループットとサイクルタイムの関係(1)」「現実的な場合のスループットとサイクルタイムの関係(2)」で述べてきた

の図のラインを元に、スループットを落とさずにサイクルタイムを短縮する方法を考えていきます。まず、

のグラフから分かることは、スループットがラインのキャパシティに近い場合、ラインのサイクルタイムの大きな割合を占めるのはボトルネック・ステーション(この場合はステーション2)でのサイクルタイムであるということです。そこでボトルネック・ステーションに注目して改善するのがサイクルタイムを短縮する一つの方法として考えられます。

  • 「ザ・ゴール」でゴールドラットが述べているDBR(ドラム・バッファ・ロープ)の方法が効果的だと私は思います。しかし、DBRとその効果を数学的にどのように表現したらよいのか、いまだに私は分かっていません。それで以下の説明ではその重要なところが抜けてしまいました。いつか、再チャレンジしたいと思います。

まず、一番効果がありそうなのは、ボトルネック・ステーションキャパシティを少しでも大きくすることです。これは、ステーションにおけるサイクルタイムスループットの関係を表す式

には、THTH_{max}に近づくと急速に無限大に発散する

  • \frac{1}{1-(TH/TH_{max})}

の項があることから正当化されます。THTH_{max}に近い値の時に、TH_{max}が少し大きくなれば

  • \frac{1}{1-(TH/TH_{max})}

は、かなり小さくなります。
次に考えられることは、ボトルネック・ステーションでのc_ac_eを小さくすることです。このうちc_eを小さくすることは、つまり装置の処理時間の変動係数を小さくすることですので、一番最初に考えられるのは、故障率を減らすこと、次にセットアップ時間やセットアップ回数を減らすことです。これらの施策は同時にステーションキャパシティも増やす結果になるので、効果が望めそうです。
次にc_aを小さくすることですが、これはつまり、その前のステーションであるステーション1でのロットの出発間隔の変動係数を減らすことになります。そのためにはつなぎの式

から考えて、ステーション1自身のc_ac_eを減らす必要があることが分かります。

話題の継続

この話は「いろいろな課題」に続きます。