ノルマを守ろうとする到着分布をモデル化しようとする努力

ロット到着間隔のWIPへの影響の考察(2)」で提示し、「ロット到着間隔のWIPへの影響の考察(5)」と「ロット到着分布が独立でないということについて」で考察した、ノルマを守ろうとする、互いに独立ではない到着分布についてどのようにモデル化すると、この現象をスッキリ理解できるか、最近、考えているところです。今、考えているのは以下のようなことです。
まず、互いに独立な同一確率分布に従う到着分布の場合の、k番目のロットの到着時刻とkaの差(ただしaは到着間隔の平均値)の確率分布を描きます(これをk番目の差の分布と呼ぶことにします)。kの値が大きくなると、到着間隔の確率分布が何であってもこの「k番目の差の分布」は正規分布に近づくことが、確率論の中心極限定理により保障されています。これを用いて、正規分布で「k番目の差の分布」を近似します。「ロット到着分布が独立でないということについて」で示した例(到着間隔の標準偏差が2分)の場合、「k番目の差の分布」は平均ゼロ、標準偏差=2*sqrt{k}正規分布になります。k=10, 20, 30, 40の時の「k番目の差の分布」をグラフに描くと以下のようになります。

kが増えるにつれて(ということは時間が経過するにつれて)分布がだんだん横に広がっていく様子を見ることが出来ます。これは、ブラウン運動で粒子が拡散していく様子を思わせます。なお参考のために「ロット到着分布が独立でないということについて」で示した、k標準偏差の関係のグラフも再掲します。

粒子が拡散していく様子を思わせないでしょうか?
そこで、ノルマを守ろうとする、互いに独立ではない到着分布については、粒子が拡散する傾向に対して、中心に引き戻そうとする力が働くようなモデルを考えることが出来るのではないか、と考えました。例えば、下の図のような曲線上に粒子が存在するモデルです。この図では、重力の影響で斜面に位置する粒子には、中心に戻ろうとする力が働きます。

この場合、粒子はブラウン運動で拡散しようとしますが、無限には拡散出来ず、ある分布をとってつりあうのではないか、と思っています。このようなモデルによってノルマを守ろうとする到着分布の性質を調べることが出来るのではないか、というのが最近、私の考えていることです。
しかし、これらのことを数学的に解析するには、私の力が足りません。どなたかのご教示を頂けると助かります。