装置と搬送システムの相互作用
「半導体ファブ内での物流構成」で示した
このような構成(下図参照)が通常の待ち行列の結論にどのような影響を与えるか
について考察を進めていきたいと思います。
まず、自動化されたファブにおけるFOUPを移動させる動作とそのタイミングについて確認したいと思います。これにはいろいろバリエーションがあると思いますが、基本的な動作は次の通りです。
- ロードポートが空いたら次のFOUPを自動化システムがストッカの中から選び、そのFOUPをロードポートまで搬送システムが運ぶように指示する。
- 搬送システムはそのFOUPをストッカからそのロードポートまで運ぶ。
- ロードポート上のFOUPは、自分の処理の番が来るまでそのまま待つ。
- 自分の処理の番になったら、処理を受けるためにウェハが1枚ずつ、装置内部に取り込まれる。
- 処理の終わったウェハは「同じFOUPに」戻る。
- FOUP内の全てのウェハの処理が完了した時、自動化システムは搬送システムにそのFOUPを次の工程のストッカ(あるいは直接、装置ロードポート)に運ぶように指示する。
- もし、次工程の装置ロードポートが空いていれば直接その装置ロードポートに運びます。さもなければ次工程のストッカに運びます。)
- 搬送システムはそのFOUPをそのロードポートから次の工程のストッカ(あるいは直接、装置ロードポート)に運ぶ。
- これと同様に当該工程の装置ロードポートに到着するFOUPが、当該工程のストッカからではなく直接、前工程の装置ロードポートからやってくる可能性もある。
ところで、上の図のモデルでは、次工程のストッカと装置と装置ロードポートを省略しています(前工程もです)。また、上記の最後に書きました
(FOUPが)直接、前工程の装置ロードポートからやってくる可能性
については、モデルを簡単にするために今回は考えないことにします。つまり、FOUPは必ずストッカからやってくる、とします。そこで上の図のモデルに合わせて、動作を書き直すと以下のようになります。
- FOUPがストッカ内部で発生する。
- その時、もし空いている装置ロードポートがあればその中の1つを選んで搬送システムによってそこに向かう(その際、搬送時間がかかる。この時間をと表すことにします)。
- もし全ての装置ロードポートが空いていなければ、ストッカ内で待機する。
- ロードポートが空いたらストッカの中からFOUPを1つ選ぶ。そのFOUPは搬送システムによってそのロードポートに向かう(その際、搬送時間(=)がかかる)。
- ロードポート上のFOUPは、自分の処理の番が来るまでそのまま待つ。
- 装置での処理が終わったFOUPは搬送システムによってそのロードポートから消える(その際、時間がかかる。この時間をと表すことにします)。
また、装置での処理時間はで表すことにします。このように、を導入した待ち行列モデルがどのような挙動を示すか、次に見ていきます。
議論の継続
- 「ロードポートネック」
- ロードポートネックという現象について、ここから議論が始まります。
- 「搬送時間ありG/D/1のサイクルタイム定理。CET=TU+TL、TUとTLは一定 の場合」
- 搬送時間ありG/D/1のサイクルタイム定理
- 上記定理を、搬送時間が変動する場合に拡張した定理です。
- 搬送時間ありG/G/1のサイクルタイム定理
- 上記定理を、装置処理時間が変動する場合に拡張した定理です。