キャリア交換時間CET

ロードポートネックの判定式」で述べた判定式の拡張を試みたいと思います。
拡張の一つは、TU+TLキャリア交換時間CET(Carrier Excahnge Time)に置き換えることです。すると、「ロードポートネックの判定式」で述べた式は、以下のようになります。

  • CET\le{(LP-1)t_e} ならば
    • u_{max}=1
  • CET>(LP-1)t_e ならば
    • u_{max}=\frac{LP\times{t_e}}{t_e+CET}

今まで考えてきた例では、TU+TLがそのままキャリア交換時間CETになるので、これは別に拡張でも何でもないように見えます。しかし、「装置と搬送システムの相互作用」で示した以下の動作

  • FOUPがストッカ内部で発生する。
    • その時、もし空いている装置ロードポートがあればその中の1つを選んで搬送システムによってそこに向かう(その際、搬送時間がかかる。この時間をTLと表すことにします)。
    • もし全ての装置ロードポートが空いていなければ、ストッカ内で待機する。
  • ロードポートが空いたらストッカの中からFOUPを1つ選ぶ。そのFOUPは搬送システムによってそのロードポートに向かう(その際、搬送時間(=TL)がかかる)。
  • ロードポート上のFOUPは、自分の処理の番が来るまでそのまま待つ。
  • 装置での処理が終わったFOUPは搬送システムによってそのロードポートから消える(その際、時間がかかる。この時間をTUと表すことにします)。

の中の

  • ロードポートが空いたらストッカの中からFOUPを1つ選ぶ。

  • FOUPの装置での処理が終わった時に、ストッカの中から次のFOUPを1つ選ぶ

に変更して考えてみます。この時、全体の動作は以下のようになります。変更した部分は斜め文字で示しています。

  • FOUPがストッカ内部で発生する。
    • その時、もし空いているか処理の終わったFOUPが乗っている装置ロードポートがあればその中の1つを選んで搬送システムによってそこに向かう(その際、搬送時間がかかる。この時間をTLと表すことにします)。
    • もし全ての装置ロードポートが空いておらず、かつ、処理の終わったFOUPも持っていなければ、ストッカ内で待機する。
  • ロードポート上のFOUPの処理が終わったらストッカの中からFOUPを1つ選ぶ。そのFOUPは搬送システムによってそのロードポートに向かう(その際、搬送時間(=TL)がかかる)。
  • ロードポート上のFOUPは、自分の処理の番が来るまでそのまま待つ。
  • 装置での処理が終わったFOUPは搬送システムによってそのロードポートから消える(その際、時間がかかる。この時間をTUと表すことにします)。

この場合、もし[tex:TU

つまり、上の式のようにTU+TLCETで置き換えることにより、さまざまな動作シナリオの場合でもロードポートネックの判定が出来るように式が拡張出来ます。