搬送時間が変動する場合のロードポートネック
「「搬送時間ありG/D/1のサイクルタイム定理。CETとTUとTLは一定 の場合」から言えること。」での議論を受けて、「搬送時間ありG/D/1のサイクルタイム定理。CETとTUとTLは一定 の場合」で搬送時間が固定値であったのを、確率的に変動する変数に拡張することを試みます。この場合キャリア交換時間CETも確率的に変動すると考えます。
ロードポートネックの判定
まずロードポートネックの判定について考えます。=2で、=5分、は2分と6分の2つの値を交互にとるとします。常に新しいロットが装置に供給されるものとして、装置の2つのロードポートのガントチャートを書くと以下のようになります。
図から、この場合ロードポートネックが発生していることがわかります。ところでは2分と6分の値を交互にとるので平均は4分です。「キャリア交換時間CET」で述べたロードポートネックの判別式はが一定の場合の式であり、
- ・・・(1)
ならばロードポートネックになるというものですが、この式のに平均値4分を当てはめてみると=2で、=5分だから、
- 5分=5分
ところがの平均値<5分 なので、の平均値を式(1)に代入してロードポートネックの有無を判定してはいけないことが分かります。つまり、の平均値ではなく実現値(この例では2分と6分)のいずれかが式(1)を満たすならば、ロードポートネックになるということが分かります。
話題の継続
- 定理を、搬送時間が確率的に変動する場合に拡張する議論は、「搬送時間が変動する場合への定理の拡張を試みて」で継続されます。
- 「CETが確率的に2値をとる場合のロードポートネック(1)」では、搬送時間が変動する場合のロードポートネックの様子についてもう少し調べます。